カテゴリー:信頼性・保全性・安全性・R-Map

セミナー受講レポート

設計・開発における未然防止手法セミナー~日産式Full Process DRとQuick DR~

セミナー概要
2012年11月14日(水)~15日(木)に東京・日科技連・東高円寺ビルで「設計・開発における未然防止手法セミナー」を開催しました(主催:一般財団法人 日本科学技術連盟)。
本セミナーは、日産自動車で実践し、大きな成果を上げている製品開発期間の短縮と品質保証を両立させる最新の未然防止手法を習得できる、話題の新規開講セミナーです。
設計変更の新規性に応じて、FMEAを軸とした「Full Process DR」とDRBFMを軸とした「Quick DR」の2つのプロセスを使い分けるデザインレビューが、講義だけでなく、実部品を用いた本番さながらのデザインレビューを、日産自動車においてデザインレビューの指導・実践を担当しているインストラクターによる直接指導のもと、演習体験することにより、「知識」と「技術」とその「ノウハウ」を習得できます。
日産式DRに関するセミナーは、日科技連だけで開催しており、毎回早々に満席に達するなど、大変な好評を博しています。
受講レポート

レポート執筆者:
株式会社東芝
村山 知寛様

1.セミナーの参加目的

弊社においても、市場事故の再発防止・未然防止の強化が図られており、製品開発の現場にてFMEA、FTAをより積極的に活用していくことが推奨されています。しかしFMEAには他のツールと大きく違うところがあるように感じています。それは一つのツールとして技術者個人がその使いこなし方を理解することが出発点ですが、真にその力を発揮させるためには、組織としてそれを活用していく仕組みを整えることも必要になることです。
私はいくつかのFMEA講座を受講したり、本を読んだりしましたが、この後者の部分についてヒントを与えてくれるものはなかなか有りませんでした。
今回、日産自動車様における実践を踏まえた講座が開設となると知り、このヒントを得られることを期待して受講しました。

2.セミナー参加を通して

最初の吉村講師の講義の中で、日産自動車様における「実践編」の具体的事例の紹介である、とのお話がありましたが、まさにその通りで、体系を理解したとしても、実践活動に落とし込もうとすると躓いてしまうような事柄について「日産自動車様の回答(やり方)」が示されており、一本の筋が通っていて、今までもやもやとしていたところについて、非常にすっきりと視界が開けたような感覚を覚えました。自らFMEAを実践しようと考える人にとっても、それを指導しようとする人にとっても、大いに得るところのある研修でした。

3.セミナー構成

講座は2日間で構成されています。まず大枠として「未然防止」の理論編として未然防止手法GD3(ジーディーキューブ)の講義があり、その後実践編として日産自動車様の未然防止手法の詳細が講義と演習で説明されていく流れです。

4.セミナー内容の詳細
時間 講義内容 講師・所属(敬称略)
11月14日(水) 9:15~9:30 開催挨拶・事務連絡
9:30~10:50 想定外を想定する未然防止手法GD3 吉村 達彦
GD3コンサルティング 代表
11:00~12:00 モノ造り品質フレームワーク
デザインレビューによる有効な未然防止
大島 恵 ボッシュ株式会社
シニア・ジェネラル・マネージャー 
開発品質システム管理
13:00~14:00 Full Process DR のプロセスとツール 大島 恵 上掲
14:00~18:00 Full Process DR の演習
・機能ブロック図
・Full FMEA
・FTA
大島 恵
奈良 敢也



インストラクター
上掲
日産自動車株式会社 
R&Dエンジニアリング・マネジメント本部
車両品質推進部
品質向上推進グループ 主管

11月15日(木) ;9:00~10:00 レビューアの役割と必要なスキル 大島 恵 上掲
10:10~10:40 有効なデザインレビューの進め方 大島 恵 上掲
10:50~12:00 Quick DRのプロセスとツール 奈良 敢也 上掲
13:00~16:50 Quick DR の演習 大島 恵
奈良 敢也
インストラクター
上掲
16:50~17:00 総括質疑応答 大島 恵
奈良 敢也
上掲
1日目
<講義1 想定外を想定する未然防止手法GD3 吉村 達彦>

▲吉村講師講義風景
▲吉村講師講義風景

未然防止手法として著名な「トヨタ式未然防止手法GD3」について、その体系化を進められ、今なお各社へのコンサルティングを手掛けておられる吉村講師より、直接にその理論と実践手法であるDRBFM、DRBTR、DRBDPの講義を受けることが出来ました。

<講義2 モノ造り品質フレームワーク デザインレビューによる有効な未然防止 大島 恵>

▲満席の会場、熱気があふれています
▲満席の会場、熱気があふれています

まず日産自動車様に於いて活動を始動するきっかけとなった問題認識を語るところから入り、活動の推進者として任命された大島講師が構築した「モノ造り品質フレームワーク」という理念の説明があります。次いで日産自動車様の品質をTOPクラスへと導くための具体的方策として「Full Process DR」と「Quick DR」という二つの仕組みが説明されます。日産自動車様の問題の捉え方や、解決へのアプローチ、採用した方策は具体的に語られるので理解し易く、非常に参考になると思いました。特に「設計者がデザインレビューを楽しめるようにする」という発想は、このような活動を定着させる上での重要な考え方ではないかと印象に残りました。

<講義3 Full Process DR のプロセスとツール 大島 恵>

新しいデザインレビュープロセスの一方の柱である「Full Process DR」とは何かについての講義です。これまでの開発プロセスとの整合を取るという意味づけもあるように思われますが、無理のない形で「Qucik DR」との摺り合わせをし、スルーした一つの体系として整理しています。フォーマット的には「Quick DR」との差異を出来るだけ少なくするなど、運用のし易いシンプルな形にしているところが実践的だと思いました。またFullとQuickの切り分ける際の考え方など、実運用のポイントも示され、実際にどうやるか、どう進めるかが理解出来るような説明となっており、大変参考になりました。

<Full Process DR の演習 大島 恵、奈良 敢也、インストラクター>

前項について学んだことを実際に演習で確認して行きます。実際に車の構造の一つのユニットが題材となり、現物を触りながらグループで議論を進めていきます。現物を良く見て(Good Dissection)、観察を元に議論する(Good Discussion)ということを意識しながら、決して専門ではないモノに対して、お互いに初見の方の寄り集まりでも、言葉を交わしてみることで、いくつかの「気づき」を得ることが出来ました。また、実際にやってみる中で、気づかない所が出たり、引っかかってしまうところに来ると、インストラクターから適切な助言をいただくことが出来、それがデザインレビューを良い方向へと引っ張る原動力であることも理解できました。

▲奈良講師とインストラクターの茂木講師によるグループディスカッションの風景。
違う業種のみなさんと活発に意見を出し合い、講義で学んだことを、実部品を用いた実践的な演習で理解の理解が深まります。

2日目
<講義4 レビューアの役割と必要なスキル 大島 恵>
▲大島講師講義風景

▲大島講師講義風景
デザインレビューを『楽しみましょう』など、
明るい雰囲気の一言が印象的。
講義と演習に集中できます。

「問題発見を支援し、解決までもドライブする」という新しいデザインレビューの仕組みを普及・展開するに当たってのポイントとして、参加を義務付けられるレビューアには、専門知識だけでなく、議論を円滑に進め、設計者が自ら気づくようなコーチングを行うスキルが求められます。このため外部から手腕の確かな講師を呼んでコーチングスキル習得に特化した研修も作り、レビューア認定の必修科目としているそうです。「設計者が自ら問題に気づくように導いていくこと」が目指す姿であると教わりました。

<講義5 有効なデザインレビューの進め方 大島 恵>

新しいデザインレビューの定義を「問題発見から対策実施までを支援する」と捉え、節目会議との差異や、有効な会議とするためのキーポイントが解説されます。具体的に日産自動車様の考え方と、それを形にした仕組みが示されるので、非常に説得力のある講義だと感じました。

<講義6 Quick DRのプロセスとツール 奈良 敢也>

新しいデザインレビューの定義を「問題発見から対策実施までを支援する」と捉え、節目会議との差異や、有効な会議とするためのキーポイントが解説されます。具体的に日産自動車様の考え方と、それを形にした仕組みが示されるので、非常に説得力のある講義だと感じました。

<Quick DR の演習 大島 恵、奈良 敢也、インストラクター>

前項の講義の内容を、具体的演習を通じて確認して行くことで、頭での理解だけではなく、実際に体験してみることが出来ました。午前中に引き続き、演習の中で、実際に「気づき」があり、そのきっかけをインストラクターの方が、どういうふうに与えてくださっているかを感じることで、コーチング効果を実感することが出来ました。

▲インストラクターの山本講師、川崎講師によるグループディスカッションの風景。

▲演習の後半は、各グループから発表を行い、
その後、大島講師から講評・アドバイスがありました。

お問い合わせ先
教育推進部 第一課 TEL:03-5378-1213 FAX:03-5378-9842
E-Mail:tqmsemi@juse.or.jp

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