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-『未来の顧客価値』を起点にしたコンセプト主導型の新製品・サービス開発手法-

 
【お知らせ】Q&Aを追加しました(2015.7.15)

 

1. はじめに

「理想追求型QCストーリー講演会-『未来の顧客価値』を起点にしたコンセプト主導型の新製品・サービス開発手法-」が、2015年7月7日(火)に日科技連・東高円寺ビルにて開催された。幅広い業種から総勢110名もの参加者が集まり、会場がほぼ満席になる大変盛況な講演会だった。

今回の講演会の起点は、技術や品質では優位に立つはずなのに市場で苦戦している日本企業の状況を改善したい、という想いにある。現在の日本企業の状況を、製品の同質化・コモディティ化、際限のない価格競争、そして事業コンセプト形成や顧客価値の追求という側面からとらえ、いかにして価格競争・コモディティ化の「負の連鎖」から脱し、競争軸のパラダイムシフト・新しい価値次元の創造に至るか、というテーマで語られた。

2. プログラム

時間 内容/講演者(敬称略)
13:30~13:40 オリエンテーション
13:40~16:30
  (~18:30)
講演
「理想追求型QCストーリー講演会-
 『未来の顧客価値』を起点にしたコンセプト主導型の新製品・サービス開発手法-」
加藤 雄一郎 氏 (名古屋工業大学大学院 工学研究科 産業戦略工学専攻 准教授)
*当初の予定では16:30終了の予定であったが、質疑応答や追加の情報提供を行ったため、希望者のみ残っていただき、18:30まで講演を延長した。
 

3. 講演要旨【理想追求型QCストーリー】(13:40~16:30)

(1)人間の意思決定

 

本論に入る前に、まず前提として、人間がどのように意思決定し、行動するか、という点を意思決定科学に基づいて解説した。人間はまず、「現状態」と「理想状態」の二つの状態を想定する。そして、その二つに差異・ギャップが生じている時に、その差を埋めようと「行動」する。これを企業活動に置き換えると、顧客の現状態(価値を受け取る前の状態)と理想状態(価値を受け取った後の状態)を想定した時に、企業がその差を埋めるための製品・サービスを提供する、という形に置き換えられる。この際に、企業が、顧客の現状態、理想状態、そのギャップをどのように想定するかが、事業や製品・サービスの企画内容につながってくる。

(2)問題提起

図1. 企業の苦戦を生む「負の連鎖」

「技術や品質で勝っているはずの日本企業がなぜ苦戦しているのか」と言う点について、まずは企業で何が起きているのかを把握するため、企業の方々に対して行ったアンケートについて紹介があった。その結果から分かったのは、①価格競争の激化 ②終わりなきコスト削減 ③革新的商品開発に挑めず ④止まらぬコモディティ化 の4つが「負の連鎖」を引き起こし、日本企業の力を弱めてしまっている、という点であった。

これらはサイクルのように連鎖しているのでどこが起点と言うことではないが、価格競争の激化が製品開発におけるコスト削減への圧力を高める→それが製品開発をコスト重視の保守的なものに方向づけてしまう→競合も同じように動けば、同じような製品が市場にあふれる→結果的に争点が価格差だけになってしまう→これがさらなる価格競争を引き起こす…という悪循環である。

さらに、行き過ぎたベンチマークが競合と同じ争点での競争へフォーカスさせてしまい、結果的に同質化を引き起こしていること、また同様に顧客調査においても表面的に顕在化した顧客ニーズは競合も同じものを見ているので、こちらも製品の同質化につながってしまうこと、などが挙げられた。
 

(3)解決策

図2. 不具合改善に着目した思考

図3. フォアキャスティングとバックキャスティング

図4. 目指すべき思考の質

上記の問題提起にもあるように、日本企業の弱体化の一因となる「負の連鎖」をいかにして断ち切り、競争力の向上を図るか、が論点となる。そのポイントの一つは、日本企業の技術者などの発想の方向性である。加藤氏は、さまざまな企業人と触れる中で、まず前提として既存製品があり、そこで起きる「不具合をどう改善するか」という観点で思考が出発するケースがあまりに多いことに気付いたと言う。この場合、思考の結論は既存製品の延長線上に行きつくため、真に創造的な発想、大きな飛躍を実現する発想には至らない。これもまた、製品が同質化する、あるいは一元的な競争軸でのスペック競争に向かう一因となってしまう。

加藤氏にとってその突破口となったのは「バックキャスティング」という考え方であった。2012年に開催された第94回品質管理シンポジウムではじめてその考え方に触れたというそれは、まず既存の現状ありきで、そこから何ができるのかを発想する「フォアキャスティング」に対し、先に目標地点を決めてしまい、そこから遡って現状とのギャップに目を向ける考え方である。一見、視点の違いしかないように思えるが、しかしこの違いこそが思考の方向性に大きな差をもたらす。このバックキャスティングはそもそも環境分野で使われ始めた言葉で、現行体制ありきではなかなか抜本的な変化を望めない環境問題に対し、まずありたい姿・あるべき姿を先に述べることで、現行体制・前提条件を外した思考を促す考え方である。

この考え方を製品・サービス開発に取り入れることにより、まず現状改善から考え始めてしまいがちな思考を、目指す姿・新たな価値に目を向けられるようになったという。これを起点に「理想追求型QCストーリー」が形作られた。
 

(4)理想追求型QCストーリー

図5.理想追求型QCストーリーのステップ

図6. ワークシート

右図が「理想追求型QCストーリー」のステップとワークシートである。前半部分は、事業の目指すべき姿、新しい顧客との関わり方を明確にするフェーズとなっている。むろん、すでに自社で持っている事業コンセプトや顧客をまったく無視するのではなく、そこに未来と言う時間軸を取り入れることで、新たな競争軸、新たな価値の創造を狙っていくのである。後半部分は、明らかになった目指すべき姿に対し、社内でのイノベーションを引き出しつつ、実際にどのような製品・サービスを開発していくか、というフェーズになる。これらの流れを通し、新たな価値次元の創造、言い換えればコモディティ化・価格競争の負の連鎖あるいは一元的な競争軸でのスペック競争から抜け出すための、多元的で新しい競争軸へのパラダイムシフトを促していくことになる。










 

(5)補足

最後に補足として、新たな価値創造を考えていくためのキーワードの紹介があった。

1)コト価値
近年、モノそのものの持つ価値、いわば機能や性能などに代表される「モノ価値」から、製品・サービスの操作性や使用時に受ける経験や感情、意味づけなどの側面に焦点を当てる「コト価値」へと注目が集まっている。しかし、ひとくちにコト価値と言っても、実際にはさまざまな解釈ができる点、またそれらが四つの象限に分けられる点を紹介していた。

2)サービス・ドミナント・ロジック
元はマーケティング分野で言われ始めた言葉で、製品・サービスの価値のありかについて考えたものである。従来は「価値とは製品そのものに備わっている」という考え方が主流であった。しかし、サービス・ドミナント・ロジックでは「価値とは顧客が製品・サービスを使いこなすときに生まれる」という考え方に立っており、製品を「価値を実現するための道具」と位置付けている。これによって何が変わるかと言うと、従来では製品をつくる=価値をつくる、というスタンスで、価値創造が企業の仕事だったのが、このサービス・ドミナント・ロジックでは、価値が生まれるためには製品と顧客の双方の存在が必要になるため、企業単体では価値創造に至ることができない、と言う点にある。このため、道具を提供する企業とそれを使う顧客という関係性をどう作っていくか、が重要になる。また、従来では、ある製品からは誰でも同じ価値を受け取るというスタンスだったのが、使う顧客の知識・スキルにより生み出される価値が異なってくる、という解釈の違いもある。言い換えれば、同じ顧客・同じ製品であっても、製品の使い方や知識・スキルが変わればまた新たな価値が創造される、ということであり、顧客と企業の継続的な関係構築にもつながる考え方である。

3)エンゲージメント
これは顧客と企業の関係性を表す言葉で、従来は製品/対価をはさんで顧客と企業が相対している関係で捉えられていた。エンゲージメントでは、そこにビジョンと言う第三点を設けることにより、顧客と企業が横に並び、共にビジョンの実現、共創を目指す、というより近しい関係で捉えなおしたものである。
 

4. 講演要旨【理想追求型QCストーリーを通した、事業創造人材の育成】(16:30~18:30)

図7.思考の質的変化

図8.事業創造者の育成

加藤氏はこれまでいくつかの企業で実際に「理想追求型QCストーリー」を指導・実践してきたが、そこで気づいたのは、真に創造的な製品開発を行うにはやはり人材の育成、特に思考の変化が欠かせないこと、そして理想追求型QCストーリーの実践そのものが、その求められる人材の育成に効果的であることであったという。

理想追求型QCストーリーの目指すところは、新しい価値を持つ製品・サービスの開発を通して競争軸を多次元化し、パラダイムシフトを引き起こすことにある。しかし、逆に言えば、それは従来の成功体験を持つ競争軸から離れなければならない、ということを指す。これが組織内では「不確実性」という不安につながってしまい、ひいては内部的な障壁になる。実際に企業に向けた調査でも、その障壁による保守への回帰圧力が認められたという。

それを打破するために行われたのがインターナルマーケティングの取り組みである。インターナルマーケティングとは、企業内部で組織横断的なチームを編成し、そこを起点にマーケティング、製品開発などの取り組みを行うことである。この場合は理想追求型QCストーリーをベースにした取り組みになるが、これが事業構想や製品開発のみならず、事業オペレーションなどの面にまで意識・思考が発展し、またその参加者の思考も、短期的・局所的な目前の担当業務の範囲から、長期的・俯瞰的な全体最適思考に変わっていったという。言い換えれば、従来は自分の目の前の範囲だけ見ていた人材が、未来を見据えつつ、部門の壁を超えて周囲と連携しながら、互いの知識や技術の新結合を引き出せる人材に変わっていったと言える。

従来、人材育成においては、どうしても限定的・分析的な形態で、スキル中心の「業務担当者」の育成になりがちであった。しかし、いまはそのセンスで新しい儲け話を創造できる総合的な「事業創造者」が必要だと言われている。まさに業務担当者とは相対的な人材特性ゆえに、同じようにプログラム的にそういった人材を育成することは不可能と言われてきた。

しかし、インターナルマーケティングを通じた理想追求型QCストーリーの実践を通し、その事業創造者につながる人材育成の光明が見えてきたという。実際にその人材育成の側面に着目した取り組みも進められており、将来的には理想追求型QCストーリーの12ステップに加え、事業創造人材の育成を見据えたステップの追加を検討しているという。
 

5. おわりに

 

最後に加藤氏は、なぜ「理想追求型QCストーリー」という命名をしたのか、という点に触れていた。氏は、かつて、はじめて問題解決型QCストーリーや課題達成型QCストーリーに触れたとき、とても大きな感銘を受けたそうだ。そして自分もこのように企業に役立つQCストーリーを作ってみたい、という想いを抱いたと言う。それが、この「理想追求型QCストーリー」という形で、7年の歳月をかけて結実したのだ。また、加藤氏は、この理想追求型QCストーリーは、決して従来の問題解決型や課題達成型のQCストーリーを否定するものでも、そこに置き換わるものでもない、と語っていた。今の日本の成長の礎になったのはこれら問題解決型QCストーリーや課題達成型QCストーリーであり、その功績は計り知れない。しかし、時代の変化が「目標の創造」というファクターを求めてきたときに、理想追求型QCストーリーという新しい「力」を加える必要が出てきたのだ、と。実際、加藤氏は従来の問題解決や課題達成と言ったQCストーリーとの連携・併用を勧めている。

今回の講演会で紹介されたこの新しいQCストーリーは、今まで企業を支えてきた「QCストーリー・ファミリー」の新たな一員としての活躍が期待されるものである。ただし、これは加藤氏自身も触れていたが、まだまだこれから内容のブラッシュアップ、言い換えれば成長の余地があるとのこと。今後、実践を重ねることにより、より効果的な手法に成長していくことと思われる。

***


なお、今回の講演会では、内容を充実させすぎたがゆえに、予定時間を大幅に超過してしまう結果となった。予定内容を終了したあたりでいったんプログラムを区切り、その後の追加内容は希望者のみを対象としたが、会場内の2/3以上が残留し、講演を聴講していた。また、プログラム終了後も大勢の方が会場に残り、講演者と参加者の間で活発な議論が交わされており、今回の講演会に対する関心の高さを感じさせた。

今回の講演は、今後の自社の事業創造、製品・サービス開発に対して新しい切り口を求めている方々にとって、たいへん有意義な内容となったのではないだろうか。
 

6. Q&A(2015.7.15追加記事)

 

Q1. 理想追求型QCストーリーでは、企業主導で自社のシーズとお客様の将来像をマッチングさせて商品開発をするわけですが、一歩間違えると自分たちの思い込みによるプロダクトアウトな製品企画にならないでしょうか。あるいは、そのリスクを回避する方法があるのでしょうか。

A1. 商品の企画の中で、コンセプト調査(商品調査)をすることでそのリスクを回避しています。ただし、通常のマーケティング・リサーチで行う調査とは実施手順が逆になっています。一般的には、まず調査を行い、その中で顧客の声を聴き、その顧客の声からヒントを得て、製品のアイデアを考え始めています。しかし、この理想追求型QCストーリーでは、まずステップに沿ってアイデアを考え、いくつか有用なコンセプトを出してから、そのコンセプトが世間に通用するのかどうかをコンセプト調査で検証する、という手順を取っています。

Q2. コンセプト調査でいくつかの案を検討したときに、一般的なよくあるコンセプトは顕在的(ユーザーが自覚している)なのでポイントが高くなり、逆に他になく優位性が出そうなコンセプトは潜在的(ユーザーが自覚していない)なのでポイントが低くなってしまうのではないでしょうか。

A2. 調査対象をどのゾーンに設定するかによって結果が変わってきます。その会社の理念やコンセプトを理解し、賛同しているようなファン顧客(エンゲージメントの状態にある顧客)に調査するのが一番理にかなっています。

Q3. BtoC製品のように、社員がユーザーでもある場合には、顧客の未来の文脈価値も想像しやすいと思います。しかし、BtoB製品、たとえば製造機械を扱っている会社にとっては、顧客(製造機械の納入先)のさらに先にいる顧客(製造機械で作られた製品を買う人)というような連鎖も含めて考える必要が出てくるのではないでしょうか。そのような場合、どのように顧客の将来の文脈価値を考えればよいのでしょうか。

A3. まず、自分たちの顧客がその先の顧客から「いま選ばれている理由」を考えます。次に、その「いま選ばれている理由」が、将来でも通用するのかをPEST分析を用いて考えます。その分析から「将来にわたって選ばれ続ける理由(成長ドライバー)」を導き出し、明確にしたうえで、それを実現するための道具(新しい自社製品)を用意し、顧客と対話します。特定の顧客、まさにリードユーザーでそれが通用するようなら、他の顧客にも水平展開することが可能です。

Q4. 理想追求型QCストーリーのチーム編成、人選についてです。チームの人選をするときに「会社の強みを知っているか」「柔軟な考え方ができるか」などの面は、職歴の長さなどにより一長一短が出てくると思います。たとえば若い人だけでチームを組むのが良いのでしょうか、あるいは若い人とベテランの混成チームのほうが良いのでしょうか。

A4. まず、部門横断でチームを編成していただきたい、という点があります。あと人選については、今までの経験から言えば、一番うまく行くのは課長クラスの部門横断の集まりです。あまり年齢が上がり過ぎると、どうしても発想が固く、保守的になりがちです。逆に、経験が少なすぎると、自社の強みや経営資源への理解が弱いため、自分の知っている限定的な範囲だけで進めようとしてしまい、発想が狭くなりがちです。

Q5. いろいろな環境変化があることを考えると、たとえば1年後にコンセプトの見直しが必要になる、ということはあるのでしょうか。

A5. ここで行っているPEST分析は、長期的で変動しにくいトレンドを分析するものです。そのため、多少の環境変化があったとしても、そう見直しの必要が出てくるものではありません。ただし、たとえば大災害や国レベルの経済変化のようなかなり大きな環境変動があった、あるいは、分析を覆すような重要な検討事項が抜け落ちていた、という場合には見直しが必要になるかもしれません。

(文責:日科技連・福田直樹)
 

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