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信頼性・保全性・安全性・R-Map

R-Map手法誕生の歴史と手法の紹介

第5回 イトーヨーカドーの製品安全活動(その3:R-Map手法の活用)

今回は、イトーヨーカドーのR-Map手法の活用に向けた取り組みをご紹介します。

R-Map手法導入の目的は、一言で言えば「リスクの見える化」です。
その背景には、事故発生時も自らの品質基準に基づいた絶対的な原因究明がなされず製造事業者任せであったことがあげられます。その結果、経験則に頼ったリスク認識のみで商品を仕入れ、販売していたことは否めませんでした。

PB製品の導入を機に、製造事業者同様に自社で扱う商品の品質基準を明確にし、「バイヤーが従来認識していない商品が持つ危害リスク顕在化の手法」として、R-Map手法の活用を検討した訳です。

R-Mapだけでなく商品仕入れの実践で活用出来るツールの策定に向け、バイヤーが商品のリスクを認識出来ることと、商品選定時の留意点を一元的に網羅することを目的に「バイヤー向けリスク分析表」を作成しました。

バイヤーにおけるマトリックス活用のメリットは、以下の通りです。

(1)
商品ユーザーから寄せられる事故履歴や、様々な使用状況下で発生が推測される危害を想定し、リスク評価を見える化できる。
(2)
(1)の評価に基づき、リスク分析表の商品(群)のリスクに落とし込む事で仕入れの際に、リスク低減の留意点、商品の改善ポイントを把握する事ができる。

また、「ハザード/危害マトリックス分析表」も用い、ハザード(危険源)と危害を把握した上でリスクの大きさを、R-Mapで評価します。「バイヤー向けリスク分析表」と合わせ二つのマトリックスを並行して活用する事で、従来見えなかったリスクが顕在化し、製造事業者に依存していた商品事故リスクについて流通事業者自らが「安全な商品」の仕入れ、販売に向けた体制構築を図ることが可能となったのです。

R-Map手法の活用はまだ緒についたばかりです。
もちろん、R-Mapは手法ですから、R-Mapがすべてを解決してくれるはずもありません。
「お客様に安全・安心な商品・サービスを提供し、お買物を楽しんでいただく」を掲げるイトーヨーカドーでは、それを実現するための様々なたゆまぬ努力を試行錯誤しながら実施し続けてしいます。
そして、その取り組みは決して終わることはありません。

本号は、2013年7月26日に開催された『R-Map実践研究会』特別講演会の内容を、筆者の主観によりまとめたものです。

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

第4回 イトーヨーカドーの製品安全活動(その2:製品安全のポイント)

「前回に続き、今回はイトーヨーカドーの製品安全活動のポイントをご紹介したいと思います。
これは、第5回製品安全対策優良企業表彰の受賞ポイントにもなっていますので、経済産業省のWebサイトもご覧ください。

■受賞ポイント1:
イトーヨーカドー独自の品質基準策定・運用 
~安全な製品を仕入れ・販売するための取り組み~
その1:公的基準をベースにした独自基準の策定。
その2:商品群毎に独自基準策定、物性基準の他、表示内容等も基準化。
■受賞ポイント2:
プライベート・ブランド(PB)製品の安全性の確保
~生産工場の監査・第三者機関による品質検査、表示文書の確認~
その1:検査機関と連携して国内外の生産工場の監査を実施。改善要求事項のフォローを徹底。
その2:製品の販売前に、第三者機関による品質検査、表示文書のチェックを実施。
監査項目は10分類にわたり住居品は115項目、衣料品は183項目について監査。
5Sの励行工場の推奨、混入事故、危害物・異物混入事故防止に向けた基本的管理の徹底。
原料・素材品質における「安全」事前確認。
■受賞ポイント3:
お取引先様、グループ会社を含めた製品安全文化の構築
~お取引先様、グループ会社を対象とした品質講習会、品質改善提案会(展示会)の開催~
その1:製品安全への取り組み、品質情報の共有化のため、イベントを開催。
その2: 中国サプライヤー・工場代表者合同品質改善会議の開催。

上記以外にも、製品安全、品質事案はセブン&アイ・ホールディングスグループ全体で
共有する仕組みや、事故情報の収集と共有を目的とした、「事故報告書フォーム」、「事故情報データベース」の構築など様々な取り組みを実践して、効果を挙げています。

これらの一連の取り組みは、
経済産業省が2013年7月に発行した「製品安全に関する流通事業者向けガイド」に紹介されているほどです。

次回は、イトーヨーカドーの製品安全活動の最終回として「R-Map活用に向けた取り組み」をご紹介します。
お楽しみに!

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

第3回 イトーヨーカドーの製品安全活動(その1:小売業の品質管理)

「製品安全」というと、製造業いわゆるメーカーだけの問題という認識を持っている方もいるかもしれません。
しかし、その考えは誤っています。

小売大手の株式会社イトーヨーカ堂では、様々な製品安全活動を長年にわたり試行錯誤しながら展開してきました。本特集の主題である“R-Map手法”の活用にも取り組みはじめています。

これらの活動が評価され、栄えある「2011年度経済産業省主催 第5回製品安全対策優良企業表彰経済産業大臣賞」を受賞されています。

同社の製品安全の取り組みは、1970年に端を発しています。商品開発室(現QC室)を開設し、小売業としていち早く品質管理業務の取組みを開始したのです。1989年には、通商産業大臣製品安全功労者表彰を受賞してその活動は順調に推移してきましたが、取り巻く状況が一変しました。

理由は、二つあります。
一つは、消費生活用製品の機能、性能の向上です。それは製造事業者の高度な技術、開発力によるものなのですが、その一方で、思わぬ製品事故により消費者の安全を脅かす事故が増加しはじめたのです。
もう一つは、消費者の品質に対する要求も高まり(厳しくなり)、小売業者や製造事業者に対し意見や問合せが以前とは比較にならないほど多く寄せられる様になりました。
また、バブル崩壊後の、長らく景気低迷や為替レートの要因等もあり、海外特にアジア地区からの輸入製品の取り扱いが急増したことも見逃がせません。

そんな中、イトーヨーカドーの製品安全活動は原点に戻りました。消費者、製造事業者をつなぐ小売業としての品質管理のあり方を改めて考えたのです。

・小売業は消費者の安全性を守る為に何をすべきか。
・製造事業者の開発した機能を消費者に正しく伝え、誤使用による事故をいかに未然防止するか。

この2点がその一つの答えでした。 (次号に続く)

本号は、2013年7月26日に開催された『R-Map実践研究会』特別講演会の内容を、筆者の主観によりまとめたものです。

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

第2回 国が発行する「製品安全に関するハンドブック」をご存じですか?

経済産業省(METI)が、製品安全やリスクアセスメントに関わるハンドブックを発行しているのをご存じですか?

2010年に「消費生活用製品向けリスクアセスメントのハンドブック〈第一版〉」、2011年に「リスクアセスメント・ハンドブック〈実務編〉」、さらに2012年に「製品安全に関する事業者ハンドブック」が発行されています。

■こちらからダウンロードできます↓
http://www.meti.go.jp/product_safety/recall/risk_assessment.html

このハンドブック発行の背景には、当時METIが、日本の安全に関わる技術基準の国際整合への遅れ、特にリスクアセスメントの産業界への普及に危機感がありました。

〈第一版〉は、消費生活用製品の開発において重要な要件である安全に関するリスクを把握・評価するリスクアセスメントの“標準的な進め方”についてまとめたものです。〈実務編〉は、リスクアセスメントの“本格的導入ステップや具体的手法について、導入事例も踏まえ、実務的に解説したもの”で、その実現のための有用なツールとして『R-Map手法』(http://www.juse.or.jp/reliability/103/#01)を全面的に採用しています。

その頃、ほぼ期を同じく、経済産業省が日科技連のR-Map関連セミナーに後援名義を発行したのもこのような背景があったからです。

製品事故のない社会づくりのためには、企業は単に法令等により要求される基準を遵守するだけでは不充分です。法令に適合すればあらゆるリスクが回避可能となるわけはなく、日々、科学技術の進歩とともに多種多様な新製品が開発される中で、製品のライフサイクル全般にわたって、より確かな安全性を追求し、流通後も安全性を検証し続けなければなりません。

さらに、これを実現するためには、自助努力が不可欠であり、その際に「手引き書」として大きく役立つのが各種ハンドブックであると思います。
そして、そのハンドブックで強力に推奨されているのが『R-Map』手法なのです。

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

第1回 R-Mapの歴史に残る快挙 ―ISO 10377に取り上げられる!―

「R-Map」は、一般財団法人日本科学技術連盟で生まれた産業界に共有されている日本発の国産手法です。

経済産業省でも2008年4月より、報告された製品事故に対してR-Mapによるリスク評価を実施し、リコールの必要性判断にも活用し、日本産業界のグローバル競争において必須のアセスメント手法と認知しています。

そのR-Mapの歴史に残る出来事が起こりました。

本年4月16日に発行された国際安全規格『ISO 10377消費者製品安全?供給者のためのガイドライン』内のリスクアセスメント方法論の8つの参考文献の一つとして、世界に発信されたのです。

これは、『R-Map』が世界に認められた瞬間と言っても過言ではないでしょう。

民間で開発された一つの手法が、世界の標準規格で認められるというのは稀有なことなのです。

これには、伏線がありました。

2009年5月にイタリアのミラノで開催されたIEC/ACOS国際会議において、日本政府代表が、R-Map研究会・統括主査である松本浩二氏の著書である、『製品安全・リスク管理に役立つR-Map手法の活用』の英訳版を各国政府代表に配付したのです。

これが、各国の安全専門家に大きなインパクトを与え、今回の快挙につながったとも考えられます。

『R-Map』はあくまでもツール(手段)に過ぎませんが、企業での活用の仕方によっては、ツール以上の価値を創出できる可能性を秘めています。

企業毎でR-Mapを活用、深化させ、成果を挙げていただき、さらに、各企業がその内容を発信することで、日本産業界の製品安全活動の向上につなげていくことを切望いたします。

いずれにしましても、日本のみならず世界が認めた『R-Map』をますます普及していきたいと考えますし、ボーダーレスなグローバル社会が進展する中でR-Mapはますます注目を集めていくものと確信しています。

IEC(国際電気標準会議)/ACOS(安全諮問委員会)

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

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