第54回 全日本選抜QCサークル大会(小集団改善活動)
本年の全日本選抜大会は、全国から17サークルが各支部推薦により、年に一度の栄えある全日本選抜大会の場に、ファイナリスト(決勝進進出者)として臨んでいただきました。
審査委員会としましては、事前に提出された「支部からの推薦書」「活動状況説明書」「要旨集」「ワンポイントシート」を読み込み、本日の各サークルの本番の発表を聴かせていただきました。
審査基準は、「QCサークル本部・支部規定」の「QCサークル本部長賞規定」にある通りです。
(1)運営の工夫/個の成長と活動の継続性・発展性
(2)改善事例の内容と成果
(3)発表の方法
審査は、全国の支部長8名・副支部長1名と本部幹事10名の合計19名によって行いました。
各サークルの発表は、それぞれ創意工夫された活動により確かな成果を挙げており、サークルの運営や改善事例とも、その活動及び成果は甲乙つけ難く、いずれのサークルも、これからの小集団改善活動において他のサークルにとって 大いに参考になる取り組みやヒントにあふれていました。
審査に当たっては、各サークルが、運営、改善、いずれも活動のPDCAサイクルをどう廻し、どのように成果をあげたかを、結論だけではなく、そのプロセスが分かるように、論理的に分かりやすく説明していただけたか、サークルの活動の継続性・発展性が確かなものになっているかを審査させていただきました。
サークルによっては、運営や活動の成果について、その取り組みプロセスの説明が必ずしも十分ではなかったり、成果を強調するあまり論理的でなく活動のPDCAサイクルや継続性が分かり難かったりするところがあったものの、各支部から推薦されたことがよく分かる、粒ぞろいの甲乙つけがたい発表内容でした。
上記を踏まえ審査委員全員の総意により、「QCサークル本部長賞 最優秀賞」1サークル、「優秀賞」16サークルを 決定しました。そして、最優秀賞にも並ぶ改善の内容と成果が認められるとして「改善特別賞」を1サークルに授与 することにしました。
各賞 | 対象サークル名(所属支部) | |
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最優秀賞 | ぶらっしゅあっぷサークル(東海) | |
優秀賞 | かじり蟲(東海) | たけのこ(関東) |
センス第一(北陸) | The Yellow Sock’s(中国・四国) | |
R&A(近畿) | トライ(東海) | |
エコノミー(中国・四国) | キャラメル味のポップコーン(関東) | |
地球にやさしいSP(東海) | 積木(北陸) | |
チャレンジャー(九州) | 劇団(近畿) | |
ダルマ(関東) | 三現REVO+3(北陸) | |
エンハンス(東海) | ハリケーン(関東) | |
改善特別賞 | 三現REVO+3(北陸) |
本年の発表において、いくつか印象に残った点は次の通りです。
1.一つ目は、コロナ禍への対応です。
各サークルの活動期間、テーマの取り組み期間はそれぞれ異なりますが、どのサークルも新型コロナの影響を 受けて、活動を進める上で、様々なご苦労があったと思います。
発表の中で必ずしも全サークルが新型コロナへの対応について触れてはいませんが、コロナ禍というピンチに おいても活動を止めないために、更には「ニューノーマル」化への適応等今後に繋がる様々な工夫がありました。
QCサークル活動は、継続的な活動あってのことであり、まさに「継続は力なり」です。そのための優れた工夫は、これからも、広く共有、活用していただきたいと思います。
2.二つ目は、ダイバーシティ、様々な多様化への対応です。
今回の発表でも、各サークルで多様なメンバーが活躍していることが報告されました。ダイバーシティとは、国籍、性別、年齢、障がいの有無、更にはキャリアや価値観、雇用形態等の属性の多様性まで含みます。
各サークルでも、様々なメンバーが個性を活かしながら活躍し、力を合わせていることがよく分かりました。QCサークル活動は、どのような雇用形態、年齢、属性等であっても互いに協力し合えることを確信しました。
実際に、本大会では、トライサークルが、聴覚障がいのあるリーダーが自ら手話も交えながら、活動内容を発表していただきました。
3.三つ目は、サークルの皆さんの様々な工夫です。
三現・5ゲン主義を徹底するためのいろいろなデータ収集の手法、例えば、エルゴノミクス評価、また、定性的なファクターを見える化する工夫、例えば、性格テスト、その他、コミュニケーション補助ツール、例えば、文字起こしタブレット、勉強方法のゲーミフィケーション等、新しいものを積極的に取り入れています。
一方で、地球にやさしいSPサークルは、活動のベースとなる職場は、「明るく・楽しく・厳しくも温かい」、即ち、助け合う雰囲気がある「現場の良き風土」が必要であると、原点に返ることの大切さを強調していました。新しいものを取り入れながらも、活動の「原点」を忘れないことは大切だと考えます。
いずれのサークルも、支部推薦を受けて全日本選抜大会に出場しており、それぞれに他の範となるべき活動を行っていることは言うまでもありません。最優秀賞、優秀賞、特別賞のいずれであっても、今後とも他の模範となり、更に活動の良いところを伸ばし、活動の継続とレベルアップをめざしていただくことを期待しています。
最後に、「QCサークル本部長賞 最優秀賞」、「QCサークル本部長賞 改善特別賞」の主な授賞ポイントをご説明します。
賞名 | サークル名 | 受賞ポイント |
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最優秀賞 | ぶらっしゅあっぷ |
1.ベテラン、中堅、若手で構成されるサークルで、活動に対する意欲と若手の能力に問題ありと考えたリーダー、サブリーダーが、全員の意思統一をめざしてワンチーム作りに取組んだ。
2.まず、意識を変える(興味がない・知識がない・時間がないを改善)ことからスタートした。時間の確保は上司に相談、興味がない・知識がない点はゲーム感覚で学べる勉強会で徐々に改善した。その後、新しいマッチングカードでコンビを決めて活動、次のステップで一人(ソロ)で動ける活動にチャレンジすることで、相互補完、個の成長、サークルの成長に繋げた様々な工夫は大変参考になる。
3.改善テーマの選定は上位方針を確認しながら、改善プロセスはQCストーリーに即して、現状把握、要因解析、検証を三現主義に基づいて展開し、成果の検証によって、PDCAサイクルを着実に回した。
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審査委員長賞 | 三現REVO+3 |
1.三現+3(原理・原則・根源)の考え方を活動の基本として、その実践に努めたことでサークルが大きく成長した。また、改善プロセスをPDPC法で見える化・共有化し、次へ残す工夫は大変参考になる。
2.「一人改善」か「チーム改善」かの選択で、QCサークル活動はチームの力を最大限発揮する活動であることを改めて確認できた。サークルの活動方針を「三現+3」「考動」「チーム改善」という分かり易い言葉にしてメンバーや周囲の共通理解を得ることの大切さ、有効性を感じた。
3.改善に当たって、層別によって絞り込み、仮説を立て、再現確認を繰り返しながら改善し、改善策のリスク検証まで行っているところはまさに三現+3(原理・原則・根源)の実践である。また、改善プロセスのノウハウをPDPCで明確にして残す取組みは大いに参考になる。
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尚、本大会で発表された全サークルに対して、別途、審査委員である本部幹事から、各サークルの活動について、「良かった点」、「更に良くするために」という趣旨のコメントをお送りしますので、参考にしていただき、今後のサークルとメンバーの成長、活動の継続と更なる発展に繋がることを期待します。
以上