デミング賞

創設のいきさつ

「QC8日間」コースで講義するデミング博士
(於:日本医師会館講堂)
デミング博士と小柳専務理事

アメリカにおける品質管理の優れた専門家の一人であった故W.E.Deming博士(1900~1993)は、1950年6月15日、日本科学技術連盟の招きにより来日されました。

東京・神田駿河台の日本医師会館講堂で、博士による「品質の統計的管理8日間コース」のセミナーが開催され、連日博士による講義が行われました。引き続いて、箱根では「経営者のための品質管理講習会1日コース」のセミナーが行われました。これらのセミナーで、博士は、わが国産業界の経営者、管理者、技術者、研究者に統計的品質管理の基本を平易に懇切に講義され、受講者に深い感銘を与えるとともに、揺籃期にあったわが国の品質管理の成長に大きな影響を与えました。

博士の8日間コースの講義は、速記によって記録され、“Dr. Deming’s Lectures on Statistical Control of Quality”の書名で有料配付されましたが、博士は、この講義録の印税を日本科学技術連盟に寄付されました。日本科学技術連盟の故小柳賢一専務理事は博士のご厚意に感謝し、博士の友情と業績を永く記念するとともに、わが国の品質管理の一層の発展を図るために、この講義録の印税を基金としてデミング賞の創設を日本科学技術連盟の理事会に諮りました。この提案は理事会で満場一致で承認され、デミング賞の制度が設立されるところとなりました。

その後、博士の著書「Some Theory of Sampling」が日本語に翻訳、出版されましたが、博士からさらにこの著書の印税の一部の寄付があり、デミング賞の基金に加えられました。こうした経緯を経て、デミング賞は大きく発展しました。現在、この賞を維持するための経費はすべて日本科学技術連盟によって負担されています。

Dr. William Edwards Deming(1900~1993)

デミング博士は1900年10月14日アメリカ合衆国アイオワ州スー市(Sioux City)に生まれ、ワイオミング大学を卒業後、大学講師、米国農務省技師、連邦標準局講師、陸軍長官顧問、ニューヨーク大学教授などを歴任され、その後諸官庁、諸会社の統計コンサルタントや品質管理の指導者として活躍されました。

博士は、統計学、とくにサンプリングの理論と実際の世界的権威であり、またアメリカにおける統計的品質管理創始者の1人で、1950年以降わが国における統計的品質管理の進歩発展に多大の貢献をされ、その功績に対し、日本政府から1960年に勲2等瑞宝章が贈られました。

博士は、1993年12月20日老衰のため93歳の生涯を閉じられました。

デミングメダル

デミング賞受賞者に授与されるデミングメダルには、デミング博士の横顔と“THE RIGHT QUALITY & UNIFORMITY ARE FOUNDATIONS OF COMMERCE,PROSPERITY & PEACE”という博士の言葉が記されています。

デザインは故山脇洋二氏(元東京芸術大学教授)によるものです。

デミング賞

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