
《シリーズ》変革と新たな価値を創造するN7と言語データ 【第2回】(全6回)<2018年12月25日>

第2回 仕事(品質管理)に活かせる“ことばの見える化”
N7(新QC 七つ道具)研究東京部会
*本シリーズ記事は日科技連賛助会員向け機関誌『クオリティ・クラブ』へ掲載したものです。
1.仕事における“ことば”
皆さんは日々業務に関することば(情報)と向き合い、また悪戦苦闘しつつ仕事をされていると思います。
●言いたいことが上司になかなか伝わらない。
●職場の人とコミュニケーションがとりづらい。
●会議での各人の意見をまとめるのが大変だ。
業種・職種を問わず、上記のような悩みは日常的に聞かれます。主な理由として、第1回で紹介したように、
上記①②を原因として、同一のことば(単語・文章)に対しても人によって微妙に異なるイメージを持っている、または微妙に異なる使い方をしている場合があるためです。
2.“ことばの見える化”の前にやるべきこと
原因①②を解消できれば、悩みも減ることになります。ただ、異なるイメージを持つことが良くないのではなく、むしろ異なるからこそ多様な価値観や文化が生まれます。したがって、ズレることは前提として「ズレるであろう認識をいかにすり合わせるか」について一工夫することが重要なのです。そのためには、 次のポイントをぜひ押さえてください。
★上記ポイントについて
認識が共有できない理由として、原因①②以外にも、
・専門知識がないために専門用語が理解できない。
・ある同一の概念を示す際に「複数のことば・言い回し」を用いてしまう。
といったことが考えられます。
これを防ぐために、次の2つの点をぜひ押さえてください。
●専門知識を共有できない関係者間においては、専門用語はできるだけ避け、噛み砕いた
表現に直す。
●コミュニケーションや議論の「キーワード」は、「○ ○という用語は~~という意味で
話を進める」「~ については『□△』とここでは呼ぶ」と申し合わせておく、または
仮に定義しておく。
3.“ことばの見える化“の方法
さて、前述のポイントをベースとして押さえたうえで、“ことばの見える化“をします。
ここでは、「わかりづらいことばの見える化」について説明します。
★“ことばの見える化”の手順
ここに、「現場の従来のやり方では通用しないという意見が増えてきた」という意見
(ことばのデータ)があります(図1のA)。
言いたいことはわかる気もしますが、よく考えると、
・ここで「現場」とはどの範囲を対象としているのか?
・「従来のやり方」とは具体的に何を指しているのか?
などの疑問も湧き、字面を見ただけでは判断ができません。
【Step1】確認が必要な部分の抽出
まず, 図1のように抽象度が高い・意味が曖昧・複数の意味に取れる内容を単語または
文節レベルで抽出します。
図1Aの例 「現場」「従来のやり方」「通用しない」を抽出。
【Step2】抽出部分についての疑問点の明確化
抽出した単語・文節について疑問点を明確にします。
図1Aの例 「従来のやり方」とは作業のやり方を示すのか?
【Step3】疑問点についての確認
Step2で明確にした疑問点について, 確認(調査)します。
図1Aの例 「従来のやり方」の具体的内容について相手に確認。
【Step4】確認結果に基づくことばの吟味
(または仮定義)
確認した結果に基づき、表現を吟味し修正します。
図1Aの例 「従来のやり方」とは、「創業当時から継続してきた後進の育成方法」という
意味であると確認。
【Step5】文全体の吟味
Step4までの結果をまとめ、文全体を吟味・修正します。
図1Aの例 生産現場の作業者が創業時から継続してきた後進の育成方法が、30 代以下の
若手作業者に受け入れられない
傾向にある。
ここまでが「わかりづらいことばの見える化」の手順です。わかりにくい部分を抽出し、疑問点を明確化したうえで表現を吟味されたものに直すことによって、 理解しやすく・伝わりやすくなりました。仕事におけるコミュニケーション全般の円滑化に役立ちます。
4.“ことばの見える化“によるメリット
さて、ことばの見える化の方法についてここまで見てきました。ことばを見える化するということは、「ことばにデータとして必要な要件を可能な限り具備させる」ということと同義です。数値データ解析を思い浮かべてみてください。数々の数値データが表やグラフの形で集計され、解析されることによって様々な推論・結論などが導かれることになります。翻って、ことばの見える化によってデータとしての要件を具備したことばをN7などのツールで図形的に表現する、あるいは組み合わせて使うことにより、次のようなメリットが生まれます。
●ものごとや考え方が理路整然と整理される。
●整理された状態によって認識の共有が図れる。
●整理された状態から推論や結論、判断が促される。
●整理された状態から新しいアイデアが生まれる。
ことばの見える化の本質的価値は、まさにここにあるのです。


