
想定外の品質問題を未然防止する方法<2015年07月08日>

タグチメソッドで有名な田口玄一氏は、「技術者の欠点は、どんな条件で何が起きるのかがわからなければ、手が打てないことだ」と言っています。では、どんな条件で何が起きるのかがわからなくても、品質問題を未然防止できるのでしょうか。田口氏は「ロバスト設計(パラメータ設計)をうまく行うことによりできる」と言っています。
タグチメソッドの中核をなすロバスト設計は、次の3つの要素で構成されています。
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①何を測定するのか
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②どんな条件で評価するのか
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③どのうように改善するのか
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そして①では、一般に測定するシステムの特性や品質問題ではなく、システムの入力と出力の関係を測定すべきであるとしています。また、②では、性格の異なるさまざまなノイズを取り上げるべきであるとしています。③ではL18やL36などの混合系直交表を使用して、制御因子同士の交互作用は直交表には割り付けるべきではないとしています。
①~③のすべてが実験計画法と異なりますが、特に①と②が品質問題の未然防止に効力を発揮し、一般の実験計画法とは異なるものにしている本質です。
読者の皆さんも、ここで示したようなロバスト設計に挑戦されてはいかがでしょう。



立林 和夫 氏
(元 富士ゼロックス)
1972年富士ゼロックス入社。主に開発段階での品質の造り込み、
および品質工学の全社推進に従事。2008年定年。2011年同社を
退職。以降、品質工学・品質管理コンサルタントとして現在に
至る。日科技連「タグチメソッド入門コース」、「実験計画法実践
コース」、「ベーシックコース」の講師を担当。著書「入門タグチ
メソッド」は2004年日経品質管理文献賞を受賞。

