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BC-News(BC講師からのメッセージ)
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60.新商品の品質を確保していく上で(1)<2023年02月01日>

パナソニック株式会社
高田 逸男( 91BC ・ O 修了)

 現在、私は品質マネジメントシステムの企画、運営や新商品のデザインレビュー、海外工場などでの新商品の立ち上げ、品質改善の支援、指導など幅広く品質管理の仕事をしています。このような取り組みによって、品質トラブルを未然に防ぎ、パナソニック製品をご購入頂いたお客様から、結果としてご満足をいただけることは、とてもやりがいのあることと感じています。

 今思えば、私自身の現在の仕事のベースはこの日本科学技術連盟のQCベーシックコースにあると考えています。実は大学でも品質管理を専門として学んでいましたが、この研修のように日本の品質管理を体系的に広く深く理論を学ぶことができ、また、更には各企業の方々や大学のご専門の先生から理論且つ実務的な指導を受けながら学ぶことができる機会は他の研修では中々ないのではないかと感じます。QC検定一級も取得しています。

 最近、特に感じていることですが、新商品を世に出す前に、新商品開発のしかも早い段階から品質を確保していく仕組みづ くり・活動がとても大切であると改めて感じています。この新商品開発の一端を担う上で、特に重要と感じているのが次の 3 点となります。

 1点目ですが、トラブルを如何に抜け漏れなく予測し、予見していくか、そしてその重要性を如何に理解し、適切に判断していくかということの大切さを特に感じています。このプロセスで漏れた場合、以降に未然に対策される可能性はかなり低くなります。抜け漏れなく予測するためには、第1に従来の仕様から何が変更されているか、その変更によってどのような影響があり、何が変化する可能性があるのか、その変 化を如何に抽出するかが重要と感じています。接着剤を変更した場合には、はく離強度は当然変化しますが、長期の温湿度環境などによりその強度が変化するかもしれないし、接着時のオープンタイムや可使時間なども変化するかもしれません。新しく採用する技術面の弱点や特性なども理解し、どのような変化が生じる可能性があるか、ばらつきを発生させる要素にはどのようなことが想定されるかなど、詳細に調査をしておく必要があります。

 また、使用段階だけでなく材料の調達、製造から廃棄までの各ステップにおいて、使われ方やそれぞれの環境、使用 者なども幅広く想定し、要求される品質を整理・検討していくことも重要です。その他、各部品の故障モードの検討も必要ですし、過去の類似技術などでのトラブル発生情報、発生の原因、歯止めの状況等も把握する必要もあります。そのようなことを積み重ね、予測トラブル、要求される品質の抽出を抜け漏れないようにしていかなければなりません。

 しかし、ようやく抽出できたとしても、コストや判断に左右される場合も多く、その重大性や発生率などの明確化だけでなく、その根拠や検証によりしっかり予見をし、客観的に判断や発生率などの明確化だけでなく、その根拠や検証によりしっかり予見をし、客観的に判断できるよう取り組みをしてできるよう取り組みをしていくことも重要です。十分に予見できず、また予見できたとしてもその大切さを十分に理解せずにトラブルを出してしまった事例も少ないとはいえません。

BC-News Vol.61に続く)

 
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