BC
57.統計解析の面白さ ~実務に適用できる方法を作り出す~<2023年01月29日>
(株) ムラタアクティブパートナー
濱口 勝重(96BC・O修了)
濱口 勝重(96BC・O修了)
SQCを勉強しはじめたとき、「検定」でつまずいた人は多いのではないでしょうか?私もその一人で、「~といえる」という表現が全く理解できませんでした。統計は「数学」としか捉えていなかったので、答えが出ているのに「~である」と言い切らないことがすごく疑問でした。当時の私の業務はSQC支援ソフトの作成でしたので、計算方法とその表記と割り切れば仕事はできました。
しばらくして、ベーシックコースを受講する機会を得ました。「検定」の疑問を解消したいため、第1月目の「統計的検定と推定」の講義は待ち遠しかった。その講義は、講師自身の経験に基づいてご自身の言葉で説明され、大変わかりやすいもの
でした。判断を間違える可能性を認めた上で結論を出すことの意味がわかったと、今までのモヤモヤがスカッと晴れたような感じは今でも覚えています。
このように、統計は間違う可能性があることを認めた上で解析方法が成立しているので、同じデータであってもいろいろな解析方法が存在します。たとえば、2群の母平均の違いを解析したいとき、t検定や一元配置分散分析、ノンパラメトリックでウィルコクソン順位和検定もあります。いろいろな解析方法があるということは新しい解析方法を作り出すことも可能ということになります。
大阪ではBC修了者を対象にしたSQC部会という勉強会が開催されています。実務でSQCを適用するときの支援を目的に30年以上前から開催されている歴史ある勉強会です。私もBCを修了してから参加し、疑問点や業務上の課題を相談しました。その中の1つに、明らかに正規分布していないデータの工程能力指数Cpkをどう求めるかという課題がありました。当時のSQC部会長であった神戸大の稲葉先生をはじめとして、多くの方と討議し、新しい求め方を考えて、品質管理学会の研究発表会で提案しました。
業務での状況はケースバイケースですから、適用するためには使い方を適切に変える必要があります。上手く適用できる事例がいくつか出てくると、この部門(または会社)では、この適用方法がよいだろうと気づくことがあります。これは、新しい適用方法を作り出したことになるでしょう。それはまるで何かを発明したのと同じような感じで、大変うれしいものです。
BCでは半年間でたくさんの講義を受けますが、あくまで基本(ベーシック)なのです。テキストに書かれていることをそのまま業務に適用できることは少ないですが、苦労してせっかく学んだのですから、恐れずに使ってみてください。勉強と成功体験を積み重ね、新しい適用方法を作り出していけば、きっと統計解析が楽しくなると思います。
〈お問い合わせ先〉一般財団法人 日本科学技術連盟 品質経営研修センター 研修運営グループ
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南1-2-1 / TEL:03-5378-1213
Copyright © 2021 Union of Japanese Scientists and Engineers. All rights Reserved.