BC
55.「事実・データで、経験を次の仕事に活かす」を学んだBC<2023年01月27日>
前田建設工業(株)顧問
村川賢司(63BC・T修了)
村川賢司(63BC・T修了)
「同じ原因で2度と不具合・不良とならないようにその原因を除去する」は、1983年63BC初日講義での板書である。私の会社は重大人身事故を2年連続で発生させたことへの深い反省からTQC(現TQM)を導入し、再発防止を暗中模索していたためこの考え方は強く心に響いた。
製造業で成果を上げている品質管理を一品受注生産という特殊性がある建設業でうまく適用できるか不安を抱いて私はBCへ参加した。しかし、「品質管理は、事実・データで、経験を次の仕事に活かすこと」など講義で学んだ考え方、多様な手法、水野滋先生のPL特論などが自業務で活かせるという感触を次第につかんでいった。BCで学習した品質管理の全容を俯瞰する考え方や様々な統計的手法などの多くが、30年以上を経た今も仕事で活きている。
BC受講中は、会社で最初のBC受講生だったため、手探りしながら休日や夜間を可能な限り宿題・ST・班別研究会の準備(予習に時間を避けず、復習中心であったが)にあてた。また、受講による不在時には上司や仲間が業務を代行するなどで支えてくれ、受講に専念できたことが幸いであった。メールなどSNSが発達した現代社会において、大きな研修成果を上げるために、BCに集中できる学習環境作りを心掛けることが大切と思う。BC修了後、TQM推進部門に籍を置いていたことから、実験計画法など学習したすべてを業務で活用できたわけではないが、改善や小集団活動の支援・指導、QC教育の推進、方針管理の仕組み作り、デミング賞挑戦など、品質経営の全般を見据えたTQM推進ではBCにおける品質管理の考え方や統計的手法が不可欠であった。また、生涯を通じて業務遂行の規範として、QC的ものの見方・考え方に立って、事実・データに基づき理にかなった意思決定を志せたことは、とても重要と思っている。私事としても、技術士(総合技術監理部門、経営工学部門)の資格取得は、BCでの学習事項がベースとなった。
日常業務と学習との両立に苦心するBCの半年を越えることで、自学自習では得難い広い視野と知識の獲得や、BCで巡り合った社内外の人々との親交など、一生涯役立つ大切なものを得られる。また、変化の大きい経営環境において難題に遭遇したとき、班別研究会などBC同窓の多種多様な人々が相互に交流できる場作りが有効であると感じており、ITを積極的に活用したネットワークがより重要性を増しているとの観を深めている。
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