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43.ベーシックコース 我が品質管理の師<2023年01月15日>
東京理科大学 理工学部 経営工学科 教授
鈴木 知道 (76BC・T修了)
鈴木 知道 (76BC・T修了)
こんなタイトルにすると、お世話になった指導教官に叱られてしまいそうだが、ベーシックコースには実に様々なことを教わったので、あえてこのようなタイトルにさせていただく。ベーシックコースに初めて接したのは、学部4年生の後期である。1988年10月からの76BCに書記として、参加させてもらったときだ。研究室内で大学院に進学する学生は、参加するものだった。その頃は、先生方がそういう場を提供していただいていて、ありがたく参加する、という感じは持っていなかった。自分の研究室の学生を派遣するようになって、やっとその有り難みというか大変さが分かったのである。当時はバブルの絶頂期で、同時に2コース実施していたが、それでもキャンセル待ちで相当の人数がいたようだ。研究室の同期の2名と同時の受講であったが、書記の我々の受講番号は150番台であった。
当時はSTの1回目は、確か「素養テスト」という名前で、品質管理のそれまでの理解度を問う基本的な問題が課される。今でも覚えているが「ワイブル分布」という名称を答えさせる問題があり、正解できなかった。それまでまったく聞いたことのなかった用語が出てきて、しかも他の研究室からの書記から出来て当然のような雰囲気があり、悔しかったと同時に、このままでは終わらないぞと思ったのも覚えている。その後も、衝撃は続く。自信を持って解答した宿題問題、答えが合っているのに判定がBだ。コメントを読むに、グラフが無いらしい。当時は何で??、と思ったが、今では学生に「統計的手法を使うのに一番大事なことは、まずは生データのグラフを描くことだ。」と講義している。あと記憶に残っているのは、卒論の時期に重なった2月だ。この月は、一週間通して日科技連と大学の往復だった。今になってはいい思い出である。
修了後は、まずはST委員としてお手伝いした。当時は合宿形式で、泊まりがけで問題を検討した。夜の懇親会で先生方と仲良くなり、その関係は今でも続いている。その他の委員会などではなかなかこのような繋がりを築くのが大変なので、貴重な体験だった。昨今の情勢では、このような形式で実施するのは難しいのは理解できるが、長い目で見ればむしろこのやり方の方が将来的なアウトプットの質は上がるのではないかとも考える。
その後は、宿題委員も担当させていただいた。先輩の講師達に、かなり厳しく指導してもらった。問題作成の担当であった他の作成委員も、問題検討会には緊張感たっぷりで臨んでいた。ここで学んだのは、手法の使い方としての正しさはもちろんであるが、品質管理の問題としての妥当性、そして受講生が感じる教育的な効果の重要性について学ばせていただいた。金曜日の討論も非常に勉強になった。特に講師間で意見が一致しないときに、その意見そのものも貴重であったが、受講生への教育的効果も考えながら上手にまとめる諸先輩方の対応の仕方は、今でも「さすが」としか言いようがない。これらのことは、ずっと大学にいては習得不可能であったことであり、いまでも、私の礎となっている。
その後は講義も担当させていただいた。受講生の厳しい評価に、落ち込んだのも1回や2回ではないが、少しずつは上達していると思うし、大学の授業、あるいはその他の講義でも非常に役にたっていると思う。まだまだ目指しているレベルには遠く及ばないが、1度は会心の講義というものをしてみたいものだ。
今後も、これらの経験を後輩達や自分の学生達に伝え、微力ながらベーシックコースや品質管理の分野に少しでも貢献していきたい。
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