BC
37.BC宿題あれこれ<2023年01月09日>
大阪市立大学大学院 医学研究科 准教授
福井 充 (61BC・O修了)
福井 充 (61BC・O修了)
BCでは1月目~5月目まで5問ずつ、計25問の宿題が出題されています。受講生にとっては、班別研究課題・STの勉強と並び、講義のない週にまでBCに追われる一因となっているかと思います。私はこの宿題の作成の委員を勤めさせていただいております。どのように宿題が作成されていくか、一部を紹介させていただきます。
まず、出題。全期間で概ね2~3問の作成を担当します。題材は極力実務に即したものを、という方針があります。金属の強度、メッキの膜厚など、平均やばらつきの値が現実のものと大きく異なると、いかにも計算のためだけの問題になってしまいます。
出題委員の中でも、企業の方はご自分の経験から題材を見つけてこられますが、大学で研究をしている私にとって、なかなかQCの問題になるような題材は見つかりません。班別研究会で紹介される皆さんの取り組みに題材を求めることが多くなります。自分の専門とは異なるため、検討委員会では矛盾を指摘されて四苦八苦することもあります。設問の設定は先人の知恵、過去問に頼ると楽なのですが、ワンパターンになりかねません。
また、会社に代々のBC受講生の過去問の蓄積を持たれているところもあり、私としては過去問には頼りたくない思いがあります。バリエーションの作りようのない問題(例えば、2群の平均値の比較では、t検定かWelchの検定かぐらいしかバリエーションは無い)で、無理に新味をだそうとして空回りすることもあります。独りよがりだったり、言葉たらずだったり、問題として仕上がるまでには紆余曲折、ボツになってしまうこともあります。検討会では、作成者の意欲をくみ取ろうと、1問に1時間かかることもあります。(6時間ほどの検討会で10問程度検討するので、完全に時間オーバーです)うまく、新問が仕上がったときは、うれしいものです。
過去問のマイナーチェンジに逃げたい気持ちを抑えながら新問作成に挑戦する気持ちを持ち続けたいと思っています。
検討会で検討の対象になるのは主として問題設定が、現実と乖離していないかという点と、受講者になにを考えてもらいたいかという2点です。計算量が多すぎないのかも配慮し、単純計算は結果を利用できるように配慮しています。必ずしも正解が1つに決まらず、考え方がいろいろあるようなデータをあえて選ぶこともあります。演習のときに発表してもらう問題については、議論を通じて理解を深められるようにも考えます。
検討会が終わっても問題は完成しません。校正の作業もあります。かつて版組みは外部の印刷業者にお願いしていましたが、数式や図の校正が結構大変なので、最近は自前のDTPです。(一部の委員の方に負担が偏っており、恐縮です)校正には気を使います。私の場合は原稿との突き合せではなく、一から電卓片手に自分で問題を解いていきます。もちろん、問題文で与えられている表や数値も原則電卓で計算します。(最近、図の下書きはExcelに任せていますが)それでもミスを指摘されることもあり、ショックと受講生に申し訳ない気持ちです。
手間ひまかけて作り上げた問題、皆様にとっては苦しいものかもしれませんが、統計手法の理解を深めるための一助になるものと信じています。有効にご活用ください。
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