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”超”信頼性入門<2017年06月19日>

これからも信頼性改善が重要
皆さんは今お使いの家電などで故障を経験されたことがあるでしょうか? 技術革新や先人たちによる継続的な信頼性改善が奏功し,昔に較べると身近な物が故障することはずいぶん少なくなったと思います。しかし,一方では,自動車やパソコンなど,大量に普及したために1件で百万台を超えるような大規模リコールになったり,鉄道や航空機のように発達したインフラの下でシステムが巨大化し,ひとつの故障や人のミスが大きな事故に繋がったり,というように故障が社会に大きく影響する時代になりました。したがって,これからも,故障を起こさないようにする特性である信頼性の改善が重要です。
 

信頼性の3要素とは?
広義の信頼性は以下の3つの要素で構成されています[1]。
・耐久性:故障が少ない,長寿命 (狭義の信頼性),
・設計信頼性:致命的な欠陥に至らない工夫,ヒューマンエラーに対応した設計
・保全性:故障してもすばやく復帰,状態監視に基づく劣化兆候の把握
部品の耐久性を確保することが信頼性の基本ですが,形あるものはいつか壊れる,と言われます。それでもシステムとして設計信頼性や保全性を検討し,お客様に効用を提供し続けることが信頼性の役割なのです。
 

手法としての信頼性七つ道具
品質管理では,問題解決に役立つ手法としてQC七つ道具がよく知られていますが,信頼性でも信頼性トラブルの未然防止手法として信頼性七つ道具があります。詳細は参考文献[2]を参照いただくとして,ここではその7つの手法を簡潔に紹介します。

   ①信頼性データベース:過去の故障事例,使用環境条件,技術標準・品質基準など。
   ②信頼性設計技法:低負荷使用による劣化防止,冗長化など,故障の発生を抑える技法。
   ③FMEA(Failure Mode and Effects Analysis):部品の故障がシステムに及ぼす影響を
      検討する。潜在的な問題を見出し未然防止する手法。
      FTA(Fault Tree Analysis):システムの故障から原因を掘り下げる。
   ④デザインレビュー:設計で見過ごされていた欠陥を組織的に抽出し、改善する。
   ⑤信頼性試験:信頼性目標を達成できているか、どんな弱点があるか、などを確認する。
   ⑥故障解析:故障メカニズムを工学的に解明し再発防止に繋げる。
   ⑦ワイブル解析:寿命データを解析し,寿命分布の形状や平均寿命などを推定する。


信頼性造り込みのストーリー
これらの手法を使った信頼性造り込みストーリーの概要は以下のようになるでしょう[2]。
「信頼性確保のためには、開発の源流段階からの活動が重要です。信頼性データベースより過去の問題点・使用環境条件・顧客ニーズを徹底的に調査し開発仕様を定めます。次に故障の発生を押さえ、問題を発見しやすく、万が一問題が生じても顧客には影響がないように信頼性設計技法を使います。
さらに予測に基づく未然防止を効果的に行うためにFMEAFTAを実施します。また、デザインレビューにより,多くの専門家の視点で問題点を抽出し設計改善を行います。
そして、信頼性試験による現場・顧客ニーズへの適合性評価、生じた故障・問題点の真の原因を究明する故障解析、目標値達成の定量的評価へのワイブル解析を実施し、さらなる高信頼性を追求します。」
 

信頼性改善に向けたマネジメントの役割
信頼性を改善するためには,実際は個々の手法を理解しただけでは不十分です。信頼性が悪ければ顧客満足度は低下し,品質ロスコストは増加します。そういう意味で信頼性は経営マターと言えます。そのために手法に加えて,

   ・故障解析結果やインシデント情報の部門間共有
   ・問題解決/再発防止における組織的な根本原因の追究
   ・徹底した未然防止に向けてデザインレビューに対する経営トップの理解


などの組織的な活動が必要です。
固有技術と信頼性技術,それに組織的な活動が合わさって狙い通りの信頼性が得られると言えるでしょう。
 
最後に,この数年でインターネットを通して個別に故障を予知することができるようになってきています。そうなると,信頼性特性として故障率や平均寿命などのように母集団ではなく,個別に信頼性を保証するような新しい考え方が必要になるかもしれません。
 
[参考文献]
[1] 「品質保証のための信頼性入門」,真壁肇/鈴木和幸/益田昭彦共著,日科技連,2002
[2] 信頼性技術叢書「信頼性七つ道具」,鈴木和幸編著,日科技連,2008
 

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Profile

     島川 邦幸 氏
   (しまかわ くにゆき)
東京理科大理工学部卒業
1973年 富士ゼロックス入社
品質保証部に約30年間所属。
その間、製品評価、品質審査、評価技術開発、品質戦略の策定と展開に従事し、製品の開発,生産に於ける諸問題を各組織と共有しながら一貫して商品の信頼性向上に携わる。
2010年 定年退職
現在,品質管理学会会員,信頼性学会会員,日科技連信頼性セミナー基礎コース等の講師。

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