事業詳細
研究会

第3年度 リスクアセスメント実践研究会

研究対象 I 製品等の開発段階におけるリスクアセスメント

この研究会の前身のR-Map実践研究会の第1研究分科会の成果を踏まえつつも、R-Map手法に捉われずに、製品の開発段階における実践的リスクアセスメントに関する調査・研究を行います。

例えば、自社のリスクアセスメント手法のブラシュアップであるとか、あるいは全く新しいカテゴリー製品のリスクアセスメントの実践であるとか、開発段階におけるリスクアセスメントに関することであれば、全て研究の対象になります。

下図に示すPSPTA法も、この研究会で大きく成長・発展させることができた手法の一つです。

メーカーの設計や品質保証に、開発段階のリスクアセスメントに関する知識が必要であることは言うまでもありませんが、流通事業者や検査機関の方等、製品の開発に直接携わらないという方も、ステークホルダーの一員として開発段階のリスクアセスメントに関する知識を有することは、自社の優位性を築く上で極めて有用なものになるでしょう。

開発段階のリスクアセスメントの推進を担っている方、自社のリスクアセスメント手法をブラシュアップしたい方、PSPTA 法等の実践的リスクアセスメント手法をマスターしたい方、リスクアセスメントにおけるリスク低減値を担保する試験法を作成したい方、調達品のリスクアセスメントを行いたい方、ご自分の身の回りのリスクアセスメントを行ってみたい方等、研究テーマには事欠きません。

また、近年、人と同じ空間を自律して動作するパーソナルケアロボットが急速に普及して来ています。 産業用ロボットのように安全柵で人とロボットを空間的に隔離できないので、万が一暴走すると人に危 害を与えるリスクが高くなります。機能安全技術を用いると、暴走して人に危害を与える前に、制御シ ステムにより危険を察知して安全状態に移行することができます。そのようなリスク低減対策について も、この研究会で取り扱っていきます。


 

研究対象II 事故情報に基づく既販品のリスクアセスメントと市場措置判断

官庁や公的機関から公表されている製品事故情報や、企業のリコール(自主回収・改修)情報を用いて、製品事故を未然防止するための研究を行います。

事故情報の分析結果から、リスクアセスメントがどうあるべきかを、プロセスを遡って検証していくことになりますので、リスクアセスメントの全体を俯瞰して見ることができ、普段リスクアセスメントの業務に携わっていない方にとっても、会社(または団体)内で、その成果や知見を広げられると考えております。

また、公表されている関連情報や各種統計情報などを利用することが多く、その入手方法、分析及び評価手法の習得にも役立つと考えます。

以下に代表的な研究事例をご紹介します。

1)実際に起きた事案から、許容されるリスクレベルか、リスク低減が必要か等、開発段階でのリスクアセスメントの妥当性
   を探る。
2)実際に起きた事案から、製品事故を未然防止するための最適なリスクファインディング方策を探る。
3)実際に起きた事案から、傾向分析を行い、未然防止に繋げるためのフィードバックのやり方を探る。
4)R-Mapで導出した結果と、実際にリコールが実施された(または実施されなかった)現状とのギャップを分析し、あるべ
   きリコール判断基準を探る。


5)リスク評価を行う際、R-Mapに、バイアス(偏向)という要素を加味し、客観的に判断するやり方を探る。
  バイアスとは、被害者の属性や原因によって、リスクの程度を変化させるという考え方で、例えば、被害者が幼児の
  場合、防衛能力や怪我の程度は成人と異なるので、危害を重く捉える。
 




 

研究対象III IoT時代の安全リスクアセスメント

現代の製品の多くは、ソフトウェアと無縁ではいられません。今までは、ソフトウェアに頼らないで 安全性を作りこむことを主眼にモノづくりを進めてきたメーカーも多いと思いますが、飛行機や鉄道などでは、ソフトウェアが人間をバックアップし、より安全なシステムを構築しています。ソフトウェア を安全要素の一環に組み込むためにはどうしたらよいのでしょうか?

昨今のIoT技術の急速な進化により、身の回りの多種多様な製品が、ネットワークを通じて有機的に 結びつき、簡単・便利に利用できる時代になってきました。例えば、今やスマートフォンは、IoTの指 令塔として、「あれば便利」から「無いと不便」「無いことは考えられない」存在へと変わってきています。

一方で、ソフトウェアの脆弱性などの問題により、これまででは考えられなかったようなリスクが顕在化し、個人情報の漏洩やシステムの長時間にわたる停止といった危害が発生しています。脆弱性を事前 に根絶することは困難なまま、IoT化の流れはさらに加速しています。

2019年度研究活動では、ロボット掃除機を例として、IoT機器のリスクアセスメントをどのように進めるのか、検証してきました(自律的に動くこと、ネットワークにつながる機能など)。



このような、ソフトウェアを含めたシステムとしての製品安全はどのように考えていけばいいのか、 また、製品を使っていただくお客様と、どのようにリスクについてコミュニケーションを取ればいいの か、皆さんとともに考えていきたいと思います。

 


 

研究対象Ⅳ その他 労働安全を含めたリスクアセスメント など

その他、「労働安全を含めたリスクアセスメント」などのテーマも研究対象としています。

 


 

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