
101.ばらつきの理解とデータのグラフ化<2025年03月12日>

石橋顕(134BC・T)
現在、私はインドネシアに駐在しており、木を原材料に家具・住宅建材・音楽楽器などを作るグループ会社に出向しています。日本ではどちらかというと生産技術が中心でしたが、今は生産技術だけでなく、品質管理なども含めて幅広くマネジメントする必要があり、日々奮闘中です。
BC受講の経験を踏まえて、材料として扱っている木材における“品質ばらつき”とは何かと考えることが多くなりました。スタッフから「材料が反っています」や「木質の色味がいつもと違います」などという声を聴くと、嫌なイメージのばらつきです。一方で、木材の板目や節を活かした塗装製品を見ると、印刷された木目柄シートのような均質感(ばらつきはない)とは異なり、木材の温かみや落ち着きを感じる時があります。これはばらつきを良いイメージとして捉える瞬間の1つです。
世の中にある様々な材料を比較した際、木材は品質のばらつきが比較的大きい反面、そのばらつきが魅力を生み出すこともあるという、裏表の性質を備えた面白い材料の1つではないかと考えます。樹種ごとに性質も異なれば、個体差もあります。いずれにしても、ばらつきの管理は非常に重要であると感じています。BCでは様々な統計的手法を学ぶと思いますが、ばらつきの管理において重要なプロセスの1つは、データのグラフ化ではないでしょうか。どのような統計的手法を適用するにしても、まずはデータをグラフ化して、データの様子や今起きていることを視覚的に掴む習慣が大切だと感じています。BCの講義でもデータのグラフ化は最初の段階で学ぶことからも、その重要性を認識して欲しいということだと思います。また、現在はBCで学ぶグラフ化の手法以外にも3次元や色の濃淡を活用したグラフなども提案されています。次元数・データ数ともに多い”ビックデータ”に関して、尚更その必要性は高まっているのだと思います。
グラフ化のテクニックは非常に重要であり、アイディア次第で見え方を拡張できるものです。つまり、今まで見えなかったものが見えようになり、新しい理解を手助けしてくれることがあると思っています。特に私がいる木工業界は他の業界に比べると、データのグラフ化に対する意識はまだまだ伸びしろがあると感じています。これからも自分なりに木材の品質特性を理解し、木材が持つばらつきを多面的に見ていきながら管理が展開できればと考えています。

