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TQM(品質・改善・とマネジメント)
TQM

企業の立場でTQM推進を思う―推進事務局の体験から―(7)<2016年02月24日>

■実情説明書を先取りする
① 「TQM実情説明書」を全員がイメージして,活動の不足な点を認識できるようにします。
 これまで「TQM推進強化計画表」を基に,様々な推進ツールを用いて「TQM重点活動」を定めて実践してきました。紆余曲折を経ながらも活動がほぼ計画通りに進展し,いよいよ「デミング賞」の受審が視野に入ってきました。
 デミング賞の受審には「TQM実情説明書」が必要になりますが,重点活動の中間時点で“プチ説明書”を作成してみました。どのような仕事や活動でも,先ずアウトプットをはっきりさせることが重要と考えました。
 推進事務局が機能別WGのリーダーと共にこれまでの活動のあらましをまとめました。
 文章を埋めきれない,活動の未成熟な部分がはっきりして,今後の活動の方向を全員で認識できました。推進事務局の仕掛けの一つです。
 もう一つの仕掛けが前号までの図18「重点活動計画」です。「TQM実情説明書」のメイン,いわゆる“光りもの”にあたるものですが,「重点活動計画」は受審当日の「重点説明資料」を先取りしたもので,活動の進捗ごとに更新すれば効率的に資料が出来上がるツールです。


② TQM活動の実践状況を定量的に評価できるようにし,TQM活動に拍車を掛けます。
 活動結果を客観的に評価し,誰の眼にも見えるようにするには,やはり定量化が必要です(ISO9001:2015でもパフォーマンス評価など,やっとその関連要求が見られるようになりました)。
 結果系の評価は,経営指標の売上高や利益額をはじめ経営目標達成率,クレーム件数,改善件数などで比較的容易にできます。一方でプロセス系の評価は,自社なりに評価基準を設けて活動のレベルを把握することになります。
 先ずTQM活動を総括した評価として図31に「TQM推進評価表」を示します。当時の「デミング賞のしおり」の審査項目ごとに自社なりに基準を設定しました。★印が自社で重要視した項目として加重し,評価しています。自画自賛ですが,デミング賞受審時は合計75点で合格基準に達していました。
 また,活動プロセスの評価として「管理のありよう,管理力(マネジメント力)=PDCAを回す力」を自己評価する「管理レベル評価表」及びその関連の「PDCAマップ」図32,33に示します。
 図34には「改善活動プロセス評価表」を示します。改善活動が効果的に進捗するよう,改善プロセスの中で評価・指導するものです。他にプロセスを評価する「○○評価表」を計12件ほど設定し活用しました。
 これにより,TQM活動のプロセス評価が見える化され,次の活動のレベルアップに向け一層の拍車が掛かりました。


「TQM重点活動」を“光りもの”に育てて,活動の成果に自信をもてるようにします。
 “光りもの”の要は,当然のことながら「品質」でありそれを中核とした「品質経営」です。経営に関する方針管理の話は前号に掲載の通りです。
 品質第一の考え方,「グループワイドのTQM」や「TQM推進強化宣言」などですでに理解・浸透していました。ここでは“光りもの”の一部を以下の事例で紹介します。


④ 新技術開発7つ道具「T7(SevenTools for NewTechnologyDevelopment)」により,開発・設計の品質のつくり込みに大きな成果を得ました。
 当社は設立以来から,地下構造物の施工に関する特殊技術を有する企業として顧客の信頼に応えてきました。
 従来から培ってきた固有技術に科学的手法を加えてさらに進化させることができました。
 指導講師である細谷先生との共同研究により開発できました。このツールの活用により,開発情報の収集・企画から開発・設計・評価まで,開発のしくみが充実して,魅力的技術が創出でき,新規事業の拡大に寄与することができました。
 その一部を当時の「TQM実情説明書」から,図35の「T7の概要」に示します。


⑤ 「ミヤマ未然防止ツール(M7)」の誕生により,施工管理の実務に大いに役立てることができました。
 当社の業態の特徴から,狭義の品質のみならずあらゆる不具合を事前に予測し,対応策をとることは不可欠です。そのための色々な管理ツールを学びました。あるとき現場スタッフから,この7つのツールを“光もの”にしたいとの提案からネーミングになりました。
 これにより施工トラブルを未然に防止でき,事業リスクの回避に寄与できたと思っています(ISO9001:2015の「リスク及び機会」に対応できます)。
 「T7」はQC界における一般普及を提唱しましたが,「M7」は在来のQC手法を組み合わせて活用するツールとしてのネーミングです。
 図36に「TQM実情説明書」から抜粋し,「ミヤマ未然防止ツール(M7)」の概要を示します。


⑥ TQM推進プロセスの見える化により,目的を効率的に達成できるようにします。
 単純なことですが,やはりPDCAをしっかり効果的に回すことがTQM推進の鍵です。しかし,PDCAが回ったとしても元のPが良くなければよい成果に結び付きません。推進計画をしっかり立てることです。また,ActはPに処置(目標が未達の場合の計画・方策の見直し)しなければ,PDCAが回りません。
 結果のチェックすなわち管理項目の明確化とその管理が重要です。図37にTQM推進室の「管理項目実績表」を示します。これにより,TQM推進における活動結果のチェックが容易になり,「TQM推進強化計画表」の管理と共に,PDCAがしっかり回せるようになりました。
 このような考え方と推進ツールの活用で,推進計画が順調に進捗し,「TQM実情説明書」の初版が早くも2月には完成できました。締切日からすると5月の連休を返上して仕上げるのが通常のパターンですが,この会社では堂々と全休にしてリフレッシュできました。
「TQM実情説明書」の初版は,若干背伸びをした表現にして,そのギャップを埋めることを課題として以降の活動強化を図りました。これも推進事務局の戦術の一つです。
 また,更新を重ねて完成した「TQM実情説明書」からさらに活動の強化に取り組みました。図38に「重点活動強化事項抽出表」を示します。「TQM実情説明書」の文章表現について,受審月までのレベルアップ事項を記載してあります。


図31 TQM推進評価表
出典:「品質経営システム構築の実践集」(細谷,西野,新倉共著)



図32 管理レベル評価表
出典:「品質経営システム構築の実践集」(細谷,西野,新倉共著)



図33 PDCAマップ



図34改善活動プロセス評価表


 
図35 T7の概要



図36 ミヤマ未然防止ツール(M7)



図37 管理項目実績表

出典:「品質経営システム構築の実践集」(細谷,西野,新倉共著)



図38 重点活動強化事項抽出表

 
いよいよ終了に近づいてきました。次の最終号はTQM推進の効果とデミング賞受賞後の活動について掲載します
 

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Profile

      西野武彦 氏

1946年生まれ
1964年前田建設工業株式会社入社/以来,建築施工,TQM推進に従事
1989年同社デミング賞受賞
以降,グループ共全四社のデミング賞受賞,そのTQM推進事務局に従事, JSQC第1回品質管理推進功労賞受賞
現在,日本品質奨励賞審査員,ISO審査員(QMSエキスパート審査員),
品質管理学会員,TQM・ISO研修コース講師,一級建築士
著書:『品質経営システム構築の実践集』(日経品質管理文献賞受賞)
『超簡単!ISO 9001の構築』,
『ISO 9001プラス・アルファでパフォーマンス(業績)を向上する』
『ExcelでQC七つ道具・新QC七つ道具作図システム』
『Excelで統計解析システム検定・推定編/実験計画法編』ほか
何れも細谷克也共著,日科技連出版社

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