16.「品質は工程で作り込め」<2016年09月29日>
技術士 安藤 之裕(55BC修了)
昨今の自動車関係の品質問題に端を発して、各方面で品質管理の重要性がマスコミなどでも再認識されている。不況になってから、コストダウンばかりが強調されて忸怩たる思いをしてこられた品質の専門家であるBC卒業生諸氏には、やっと雲間が薄らいできた思われる方も多いのではないかと思う。
そのような中で、4月5日の日本経済新聞の記事で「中国・韓国などのメーカーはこれまで低価格を武器にシェアを増やしてきたが、検査体制の強化などで品質のアピールにも力を入れる。」という表現を見つけた。なるほど、世の中では、品質を上げるとは検査を強化することだと信じている人たちが未だに多いのだろう。
少なくともBC卒業生には再度「品質は工程で作り込め」という格言を思い起して欲しい。日本的品質管理の底力の強さの源泉の一つはこの格言を愚直に実現しようとしてきたことではないだろうか。そして、それは、「品質を上げればコストが下がる」という経験則にも通じて、日本製品の強さを支えてきたのではないだろうか。
そして、それを実現させるための技術の根幹が、実はBCだといえよう。BCでの知識体系を基本とする日本的品質管理は絶対的に重要であり、それ故に、近年新興国の中の感性の高い企業では日本的品質管理が積極的に導入されている。
さらに言えば、「コストはともかくとして、品質管理に関しては、我々日本は諸外国より数段上にいるからまったく心配ない。」などと思っている人は、傲慢というよりは、既に戦中の大和魂的無知と言ったほうが適切だろう。追い抜き追い越される前に、日本企業は蒙を開き、品質を工程で作り込む技術の重要性を見直して、ドンドンBCで社員を鍛え上げるべきだと思う。