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BC-News(BC講師からのメッセージ)
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24.「改善の基礎となるデータの重要性と現場主義」<2016年09月29日>

岡山商科大学 教授 西 敏明 (72BC・O修了) 
 
 
1988年10月?3月の期間中,書記として受講しました.かれこれ23年前になるとは,そんなに前かと感慨深く感じました.ここ最近,BCで習った中で日頃感じていることを以下に書いてみます.  
 
1.データの取得場面から統計的手法の適用の流れ  
日常的に,データを採取し,物事の判断をすることは重要なことと認識していると思います.ここでは,「データの背景」と「プロセス」,「データの処理」について考えていきたいと思います.  
おさらいになりますが数値データを管理用データと解析用データに分けてみると,管理用は,多くの場合,日常管理としてデータを取り,品質をつくりこみ,「異常」や「異常ではないが異常への傾向があり,あやしい場合」の発見等について徹底管理し,異常・異常への傾向があれば対処するという考え方です.解析用は,解析するための目的があり,その目的達成のために取るデータのことをいいます.管理用のデータには,入力・プロセス・出力,または原因系・結果系など,時間軸・事象・データの性質の様々な側面で層別されて存在します.解析用でも同じです.  
 
このようにそれぞれの場面で得られたデータを多くの場合,データを図的・視覚的に要約・表現し,検定・推定をはじめBCで習う多くの統計的手法を適用します.なぜこのようなことをするかと考えると,改善をするためです.「標準・標準化に対する日常的な改善」,「よりよい技術・仕組み・組織などを構築するためにする改善」など多種多様です.SDCA,PDCAを実施し,事務部門・技術部門を問わず自社の技術能力向上のため,「改善」は大変すばらしい考え方と常々思います.では,改善の基礎となるものの中で,QC的なものの見方・考え方は大変重要であり,データで事実を語り,データから原因追及・解析・対策等々の評価をする必要があります.  
そこで,次にデータの周辺について述べていきたいと思います. 
 
2.データの背景を考えること  
得られたデータの背景を考えると,実に様々な「現場」や「実験の状態」を把握することが出来ます.例えば顧客から「製品特性」のクレームがあった場合,早急にどこに原因があるかを探る必要が出てきます.設計起因,製造過程など,現物や現象(三現・五現主義の観点)を鑑みながら,「なぜなぜ」のように問題所在の深化を行い,突き止めていきます.データの背景を観て・考えることは,データの発生・関連した現場を観ることに繋がります.数値データの他に,当然のごとく,特性要因図や連関図,親和図などで多くの言語データを整理し,混沌とした状況から現況を把握する必要があります.  
 
3.プロセスの重要性 
先に述べたデータの背景などから「目的品質」を設定します(既に設定している場合も多々あります).その目的品質の入手先は,入力,プロセス,出力であり,場所・組織の概念で区分けすると,「全社的に観た場合」,「製造部門で観た場合」,「各自部門で観た場合」,「自部署で観た場合」などそれぞれ存
在します.では,どのような場合・形が望ましいかを考えると,局所最適と全体最適の両方が適合していることが望ましい.自分たちの抱えているプロセスが全体から俯瞰した場合でも,最適なプロセスであり,最終的に要求される様々な品質が各所に「つくりこまれている(造り込む・作り込む)」ことが重要となる.  
 
しかし,このように書くのに簡単であるがなかなか難しい場合が多いのではないだろうか.では何が阻害しているかは,組織・仕組み・マネジメントなど多種多様である.ただ,注意してほしいのは,他責ではなく,自責のこころを持ち,プロセス構築に努めてほしいと思います.加えて,「品質」は社内と社外(市場,顧客)ともに競争優位性を持つ共通語であるが,品質に関する「情報の非対称性」の存在が多々ある.「どこまで出すべきか」,「どこまで理解してもらうか」は重要な考え方・概念となります. 
 
4.データの処理  
科学において実験における再現性は大切な概念です.これはある指定された条件で実験をすると,結果が再現されることである.再現性が保証されないと,データの処理をしても処理する概念の意味が薄くなってくる.またデータ処理には図式化・視覚化,構造探索などがある.構造の探索は,実験計画法や回帰分析の構造モデルを明らかにすることに繋がります.データの処理で重要なことは,目的に即した適切な処理・解析が行われることである.そのためには,BCで習った統計手法を理解し,現場へ(最初のうちは)試行錯誤しながらでも適用し,考察することが重要となります. 
 
5.徹底した基本の大切さ 
今まで述べたことは,基本的なことですが,その基本が本当に常日頃から出来ているか,また不具合があれば,どのように解決へと結びつけていくか,また「しくみ」は常に徹底され,また必要に応じて改善されているか,システム化されているかなど,基本の重要性を再度認識(希望としては,幾度となく確認)してほしいと考えています.  
 
6.おわりに  
なぜ,このようなことを書くかというと,自身が農学部を卒業したといいながら,微生物を対象としていたため(言い訳ですが...),農の基本的事項の一つである農業のことは全くといっていいほど,「現場」でのものづくり(栽培方法・技術)を理解していませんでした.岡山は,ぶどうやももなどの果物を多く栽培している農家が多く,栽培(ものづくり)方法を教えていただく機会があり,勉強になります.土の状態監視からはじまり,木・葉の状態,水の与え方,糖度,日照時間,現在とこれからの予測(大きな実を実らすかどうか)など,数値データ・言語データもあれば,官能評価的なデータで判断する場面もあります.  
 
先の話と共通していることは,「現場を重視し,背景を考え,様々な特性に関するデータを採り,目的品質に適合した結果を出し,検討や対策などの一連のPDCAをまわし.顧客に喜んでもらえる品質を提供する.提供後,原資をもとに次に向けて,品質の向上を図る.」ことであり,顧客への価値提供をしているということになります.これを考えると,全体も重要であり,各部門・部署においてもそれ
ぞれに該当・関係する現場を常に観ていき・一緒に考えていくことは大変重要となります.  

 
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