Mail News Archives
 検索
   
BC-News(BC講師からのメッセージ)
BC

25.「現場で実践するこころ~雑感~」<2016年09月29日>

太成学院大学 教授 坂元 保秀 (36BC・O修了) 
 
 
BCを修了された皆様お元気でご活躍のことと思います.習得されました手法を活用し品質維持改善活動に日々努力されておられることと思います.このたびニュース原稿を依頼され上記雑感として想いを書かせていただきました. 
 
■QCと出会い?手法活用の実践の魅力へ  
私のQCとの関わりは,学生時代に山内俊平教授のゼミを訪れたのが出会いで,夏休暇中,工場で猛暑の中,生産品を測定し統計手法を応用するQ7の活用の実践でした.  
現場でランダムに抽出した生産品の特性を測定しヒストグラムを活用する実習では,作成したヒストグラムが測定ミスやチェックマークミス,計算ミス等で測定からやり直しさせられたことがあります. 
この実習の経験が「事実のデータを得て手法を活用し確実に実践する」ことの 始まりであったと記憶しています. 
BCへは,現運営委員長の近畿大学教授岩崎日出男先生のご紹介で36BC(O)を書記として受講し,他にDEやOR教育コースも書記として受講させていただきました.難しく自分には理解できなかった諸統計手法が現場でどのように具体的に活用され実践されているのか興味を持ったのもこの時期でありました. 
 
■班別研究会に見た実践のこころ  
その後,関西統計的方法部会,JS部会にも参加させていただきました. 
そしてBCセミナーのお手伝いをさせていただく中で,唯一経験した手法活用の実践の場が班別研究会で,多業界の改善テーマでの手法活用方法の実感でした.講師側になったとき,現場の固有の言語に戸惑い,状況を知るのに時間を費やし,研究員にお願いして現場の実態を見学させてもらった事も多々ありました.BCでは,品質改善に役立つ統計手法をはじめ数多くの手法を学びますが,実践するとなると多くの制約条件を受けたりします.  
また現場では,事実のデータを収集分析してばらつきに注目し,対策効果に技術的判断を交えて意志決定することが必要となります. 
多くの研究員の皆様から班別研究会で品質改善のために必要な諸手法の活用と「実践するこころ」を学ぶことができました. 
研修期間中に積極的に取り組まれた問題解決の方法を,今日なお品質の維持改善のために活用し実践するこころを持ち続けて欲しいと願っております. 
またBCのカリキュラム編成のお手伝いの中で,諸手法を活用しコンピュータを利用して実践感覚で目的が達成できるよう一講座の検討を重ねたのも常に委員の皆様の意識が「現場では?」にあったと思っております.  
 
■現場(企業)で得た実践する意欲  
初めての企業指導は,班別研究会の改善テーマ指導と同様だからと,当時大阪事務所澤田誠久氏のご紹介で経験,企業側の説明を聞くと,方針管理を主体とし方針展開した目標・方策に基づいて,工場での品質問題に対して手法を活用した改善事例を推進する各部門のQC活動の指導でありました. 
特に社内指導で得られたものとしては,改善報告の中で管理を定着させるための統計手法を,即具体的に現場で活用の現実を目に焼き付けることができたこと,工程異常に対しチェックすべき管理項目が確立され原因追求と処置方法の実例を見ることができたことなど,また他では実験計画法のデータ収集の実際を見学させていただき,特に各実験において因子の水準変更とともに詳細な記録データが採集されていたこと,これも真の要因の影響を特性に反映させるための方法と感じたのも手法活用の実践の場でありました.  
特性値は変動するもの,記録データの収集は特性値の変動要因探索の一手であるとも考えています. 
現場の中では,ばらつく要因は多岐に存在します.ばらつく要因を把握し品質を安定させることこそ,統計手法を活用し実践する心構えであると信じます.  
 
■実践するヒントは飲みニケーションにもあった  
企業の指導会後,一風変わったコミュニケーションを味わうこともできました.推進部からの案内で夕刻「Night QC(NQC)を行います」という懇親会に参加しました.  
どなたの発案かはわからないが「QCについて語ろう」と称する飲みニケーションでQCに関する意見交換の場でありました. 
スタッフの皆様から種々の問題や統計手法に関する質問を受け宿題として持ち帰り回答に苦慮したことを思い出します.  
統計手法を活用し実践するスタッフの皆様の意気込みを感じる事ができました.またNQCが指導会後の癒しだけでなく前向きに維持改善活動に手法を活用し実際に活かすための情報交換の場でもありました. 
本年3月読売新聞に人間関係を改善するため「本社内に居酒屋計画」の記事を目にしました.部門を超えて社員の融合を図り仕事での協力関係樹立の場として興味を持ちました.品質に対して社員が抱える種々の問題の解決の場へと発展すればとも思います. 
 
■手法を活用し実践する者づくり  
「ものづくり・人づくり」と言われます.ものづくりは,製品はもちろんのこと手法を活用し実践する者づくりへも通じます. 
品質第一を目指すQC活動の実践に通じる人材の育成でもあり,BCでは他業界の研究員の改善テーマの実践例を見聞でき,QCに対する意識改革と実践するこころを培うこともできます. 
ユーザのニーズは時代と共に多様化し,品質の良否の結果は,品質にばらつきがあることを知り原因追求と改善に取り組むことのできる者づくり,またQC手法を活用して現場に技術的判断を加えて品質向上につなげられる実践のこころを持ち続けることのできる者づくりなどQCを意識する人々の増加へとつながる者づくりを期待したいものです.  
よく品質問題を抱えたら脳裏に居座り続けることもあります.生活の空間をうまく利用して問題解決へ向けて努力するこころ,また関連部門および同僚間でQCを語る意見交換の場を設定することも問題を解決する一歩となるかもしれません.達成すべき目標を持つと実践のこころは必然的に生まれま
す. 
品質の維持改善に役立つToolをうまく活用し,また皆様には,さらなる高度なToolの習得および開発等も含めて品質向上のために「実践するこころ」を大切にして活躍していただけるQCマンであることを願っております. 
おわりに,まとまりのない原稿となりましたが,BCを修了して40年余り研修のお手伝いをさせていただきながら想うことは「継続は力なり」と言われるとおり,修了生の皆様が「以心伝心」のこころで,現場の変動に注視し油断することなく管理を充実させて,先輩から後輩へと活動する意欲を伝え,創意工夫して実践へ向けて邁進する熱意こそが経営の質の向上に貢献できると考えます.またこのたびの大震災や台風による災害に対し一日も早い復興を祈念申し上げます. 

 
戻る
関連記事
 
〈お問い合わせ先〉一般財団法人 日本科学技術連盟 品質経営研修センター 研修運営グループ
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南1-2-1 / TEL:03-5378-1213
Copyright © 2021 Union of Japanese Scientists and Engineers. All rights Reserved.