
BC
88.『全員参加』こそ、改革・改善の要諦!<2023年03月01日>

元 株式会社小松製作所
皆川良一(57BC・T)
皆川良一(57BC・T)
私は、1980年のベーシックコース(BC)卒業生です。統計数学はあまり得意ではなかったので(いまでもですが)、当時は教えていただく「型」を覚えるだけで精一杯だった記憶があります。ほんとうに卒業と言ってよいのか危ういところがありますが、その後5年間ほど班別研究会講師として関わり海外赴任などの都合で中断、30年を経て2018年から再び班別に参加させていただいています。
この30年の間は建設鉱山機械のコマツという会社で様々な改善改革活動に携わって来たのですが、BCや班別で学んだ事がいかに大切なことであったかという実感をお伝えしたいと思います。当時はデータと統計的な手法を中心に学びましたが、問題解決のためのマネジメントも教えてくれていたことに後になって気づきとても感謝しています。特にBCではその実践を見ました。
BCで学ぶ品質管理の基本コンセプトを挙げてみると、
・顧客満足(品質とは)
・PDCA(管理とは)
・ファクトコントロール
・データで表現
・現地現物直視
・源流管理
・なぜなぜ、原因に対策
・全員参加
といったようなことが度々出てきます。このメッセージではこれらの中の「全員参加」についてスタッフやミドルの目線でお話ししたいと思います。
「全員参加」はQCサークルの文脈で出てくることが多い印象で、当時は経験もなくなんとなく受け入れていたように思いますが、実務を経験していく中で事業としても大変重要な基礎であることを痛感するようになりました。そのきっかけは、改善改革活動が「できる・できない」の差は現場単位よりももっと大きな会社や事業組織によって大きい差があることに気が付いたときからでした。
あらゆる事業環境が複雑になっていきています。QCDにS(安全)やL(Liabilityコンプライアンス)が加わり、さらにSDGsと対応すべきことが多くなっています。お客様も多様化し、競争相手もあらぬ方向から出現するようになっています。一方で、すべてを知っている人はいない、いたとしても全ての仕事をすることはできないことは自明の理でしょう。ところがそれがなかなかできずにもどかしい思いを皆さんも経験されているのではないでしょうか。
例えば、
・提案をしても中身より投資(費用)対効果ばかりを要求されてなかなか進まない
・DXをやれと言われているが現場が乗り気にならない
・先輩諸氏からは過去にやったことがある経験から成功しないと言われる
・プロジェクトがスタートしたが続かずにいまにも頓挫しそう
・活動の見通しが霧の中のように悪い
などなど、心当たりがある方は多いのではないでしょうか。
乱暴かもしれませんが、まとめると「全員参加」の問題と言ってもよいのではないでしょうか。「参加」のニュアンスは受動的ではなくParticipation(積極的、能動的)であって、自ら考えることが基本にあることを教えてもらってはいるのですが、現実を思い起こせば自分の関わる環境や活動には上記のような問題の枚挙にいとまがないでしょう。固有技術の深さや品質管理のような管理技術があってもそれを活かせない、最後に結果を「出せる・出せない」の差が出てくるのはやはり「組織的な力」にあるのではないかと感じています。
ミドルアップを行いトップダウンで推進することができたとき大きな推進力になります。組織全体の問題なので特効薬などはないのですが、そこに持って行くための私たちの工夫も必要ですね。
知恵の乏しい活動は先が見えにくく動機付けも弱くなります。型やツボを知っている人を探して聞きに行く、失敗談を含めて先人の到達点から始める、こうすることで参加者も自然に増えていきます。それでも、モチベーションが醸成されないときは、何か問題があるはずです。例えば、関係する職場のニーズや優先度は代表的な問題です。ニーズや優先度のすり合わせが必要になります。QCストーリ―では問題を取り上げた理由や現状把握をしなさいとありますが、実際はこういったことを実行しなければ中身が詰まりません。
問題は思った以上に複雑で、参加者が増えないと隅々まで問題・課題を押さえることができません。テーマによっては用語の違う人が協力しなければなりませんが、「知ってるつもり」や「わからない」が大きな壁になることがあります。直感的にわかりやすく見せる工夫は必要ですが(今どきの言葉を使えば見える化とか見せる化というものでしょうか)、データにすると外国語のように聞こえるような用語の壁を比較的容易に突破できることを経験してきました。データはファクトコントロールに加えてコミュニケーションのための共通言語として使うことができるのではないでしょうか。もちろん基本的なリテラシーは各人が持つ必要がありますが、BCを経験した皆さんならできるはずです。「全員参加」は品質以外の問題に対しても共通しており、どのような問題でもその成功率を上げるために普段から作り上げるべき「組織的な力」であることをいまさらながら理解するようになりました。迷った時はBCテキストを見返してみると基本に戻るヒントをくれることが多々ありましたし、今後もそうしようと思っています。
考察が浅く散文的でまとまりのない文章になりましたが、最後までお読みくださりありがとうございます。そもそも「組織の力」は経営者が取り組む問題だとは思いますが、スタッフやミドルも与えられた環境の中でもなんとか進む工夫を積み重ねることをあきらめてはならないと思います。読者の皆さんの今後のご活躍をお祈りしています。


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