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81.宿題にどっぷりハマりました<2023年02月22日>
住友ベークライト株式会社
稲場大成(116BC・T卒)
稲場大成(116BC・T卒)
私がベーシックを受講した 116BC・Tは、リーマン・ショック直後だった影響で、受講生の数は過去最低だったと聞いています。ただ、少人数だったことも幸いし、同じ会社から複数派遣されている受講生とそれぞれ同じ班の受講生が混ざって飲みに行くようになり、さらにどんどん交流の輪を広げていくうちに、最後のほうには一緒に飲みに行ったことがない人がいないぐらいすべての班の人たちと交流を深めることができました。
今のコロナ禍で始まったオンライン受講は、開催地が遠い方や実務が忙しくて1週間仕事を抜けづらい方なども参加しやすい、一人で受けられるので気を使わなくていいなどの利点もあるとは思いますが、やはり半年間もの間、他業種の人たちと交流できる機会というのはめったにないことですので、はやく元の講義スタイルでも開催できるような世の中に戻ることを願っています。
もともと専攻は化学で、統計の知識も全く無い状態でベーシックを受講し始めました。そんな中、1月目の宿題では「考察せよ」って何を書けばいいんだろう……と思いながら始めましたが、問題が実務をイメージできるようなリアリティさ、いろいろ考察できるだけのシチュエーションとデータの奥深さから、問題を解くのが非常に面白く感じ、学生時代には大嫌いだったはずの「宿題」に大ハマりしてしまいました。
今見返すと恥ずかしい考察を行っていたり、会心の解答を行えた問題もあったりしながら、それから半年ほぼ宿題(と飲み会?)にパワーを振り切りました。もう少し ST にも注力していれば……。終わってみたら、宿題についてはかなり良い成績を収めることができ、そのおかげで宿題委員のお誘いを受けることとなりました。
それから宿題委員として 20 問ほど宿題を作成してきましたが、自分が受講生の時に感じたような“解く面白さ”を感じられる問題になるよう、①実務がイメージできるリアリティさ、② 奥深いデータ・設問づくり、を意識して作成しています。
リアリティさを出すには自分の実務に関連するシチュエーションを使うのが一番簡単だとは思うのですが、弊社からの受講生が多いため「あのネタだな」と思われたくないという変なこだわりがあり、今のところ実務ネタは使わずに問題を作成しています。ただ、リアルな問題を専門外のシチュエーションで作成するのは結構大変です。基本はネットでネタ探しをしますが、特性値のリアリティを出すために特許検索を行ったり、ネタを絞り出すために図書館に行って調べたりすることもあります。これはこれで、他の業界の技術を知ることができとても勉強になります。ただ固有技術的に全く起こり得ないような問題にはしたくないということもあり、直交配列実験や重回帰分析など、要因・変数の多い問題は、どうしても専門に近い化学的なシチュエーションに頼ってしまいがちになってします。
②については、初めての宿題作成時に「奥深さ」の意味をはき違えてしまい、今となっては恥ずかしすぎて見たくないような問題を作ってしまいました。責任者の先生のチェックで大幅な軌道修正、宿題一括検討会でのご指導も経て、なんとか出題可能なところまで修正することができました。その後はこの時の反省も活かしながら、徐々に他の先生からも「面白い」と言ってもらえるような問題を作ることも出来るようになってきました(受講生の方が面白いと思うかは不明ですが……)。
ベーシックの宿題委員は、自分で調べて・考えて宿題問題を作成すること、実際に自分で作った問題についてそうそうたる先生方に直接ご指導を受けられること、他の先生方が作られた問題についても検討会で一緒に議論できること、宿題演習でどんな質問が来るかひやひやしながら解説を行うことなど、他ではできないような体験ができます。正直に言いますと、ベーシックコース受講時の何倍も統計手法の理解が深まったと思います。「宿題」に育てられたおかげで、今では講義も担当させていただけるまでになりました。
ベーシックコースを修了された皆様、これから受講される方も、宿題委員でご一緒に頑張 ってみませんか?立候補お待ちしております。
〈お問い合わせ先〉一般財団法人 日本科学技術連盟 品質経営研修センター 研修運営グループ
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