BC
72.日科技連ベーシックコースを振り返って<2023年02月13日>
シャープ株式会社
山吹 佳典(104BC・O修了)
山吹 佳典(104BC・O修了)
1. はじめての品質管理
品質管理との出会いは大学時代でした。1年生のとき(今から20年ほど前)、岩崎日出男先生が講義された品質管理や統計的手法の科目を受講したことが始まりです。その岩崎先生が言った次のフレーズによって、私の中で多くの中の1つであった必修科目が最も興味をもって受講する科目に変わった瞬間でした。「平均が知りたいんじゃない。統計が知りたいんや」。
それ以降、平均以外の中央値、分散、標準偏差などのデータから、QC七つ道具そして検定・推定といった内容、これらに関連する具体的な例をあげた講義により製造業、とりわけ品質管理や品質保証の業界に進みたいとの想いが増していきました。
2.BCへの参加
大学4年生後期に岩崎先生からの勧めで、大阪で開催された品質管理セミナーベーシックコース(BC)に書記として参加することになりました。元々、大学内で講義を受けており、それなりに自信もあったのですが、6カ月の間での濃密な講義、宿題、ST、班別研究会、さらにセミナー運営のお手伝いと、大学の卒業研究との両立は想像を超え、非常に大変なものでした。
講義や演習の内容を議事録に書き記すためにテープレコーダー(それでも2000年代とは。。)を何度も巻き戻して聞いたこと、テキストを読み返しながら聞いてもなかなか理解できなかったこともあり本当に苦労をしたことを覚えています。
ただ、これらを乗り越えることで知識が身体に刻み込まれたような気がします。おそらく、BC修了生の皆さんにとっても同じ経験をされたのではないでしょうか。「知らない」ことから「聞いたことがある」。そして「使える」ところまで研鑽されていかれたものと思います。
3.BCへの携わり
BC修了後にSQC部会という勉強会があることを聞き参加することにしました。社会人となり品質に携わるものとしてBCを受講した経験を忘れないようにしたいと思ったことが始まりです。
これまで手法の勉強はしてきましたが、実務に携わる方々との議論、またBCでは学習しなかった手法についての学習など、幅広い議論をすることができ、とても貴重な経験が出来ています。ここ数年は、QC検定1級の解説本を作成する取組みを進めていますが、年々問題レベルが上がっていることを実感しており、改めて学習を進めていく必要があると考えています。また、品質に携わる他社の先輩方の貴重なお話を聞ける機会でもあり、時間の都合が許す限りこれからも参加したいと思える勉強会の一つでもあります。
そして縁もあり、BCの宿題分科会に参加するお話をいただきました。BCでは毎週末に次月までの宿題として提出される、あの5問の宿題です。私も受講当時は、毎月本当に苦労をしました。提出日の朝までかかって問題に挑んでいたことを思い出します。(今となっては、企業から派遣されている受講生の方が何倍も大変であったにも関わらず、学生の私は。。。)
その宿題を作成する委員会に参加することは、毎月末の演習にも参加することでもあり、これまでは「自分が使える程度に理解をしておけばよい」と考えていたすべての事柄に対して、「相手に理解してもらえるように説明できる」レベルまで引き上げることが必要となりました。
問題の作成や演習に参加するにあたり、もちろんテキストを読み返します。担当するテーマの章を読み返すことで、文章で誤解を与えない表現にすること、より具体例を挙げて解説することを心掛けています。なにより、受講生の方々が問題を解くことや演習の議論に参加することで、理解が深まるような問題にしたいと考えています。
品質保証・品質管理の分野は企画部門や設計部門と違い、大きなスポットライトが当たりにくい職種です。ですが、理解を深めていくと、こんなに面白く、幅広い分野はないと考えています。BCを通じて少しでも面白いと感じていただけるよう、一層努力していきたいです。
4.BC修了生へ
私はBCを受講することが大きなターニングポイントになりました。この貴重な経験は、何ものにも代え難いものです。皆さんもBCで得たことを実践してみてください。これまでとは違った景色が見えてくると思います。そして、その見えた景色を周囲の方々にも伝えてみてください。一人でも多くの人に「品質保証・品質管理の分野は面白い」と感じてもらえると嬉しいです。
まとまりのない文書になりましたが、最後にBC受講生として今後の更なるご活躍をお祈りします。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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