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BC-News(BC講師からのメッセージ)
BC

66.ベーシックコースを超えて<2023年02月07日>

株式会社エルデータサイエンス
代表取締役社長 渡邉 裕之(74BC-TA修了)

1.受講生時代と講師時代
参加は、昭和63年10月開講の第74回BC(東京Aクラス)で、受講生は155名、うち書記は私を含め5名でした。当時、東京大学工学部久米均研究室の4年生で、東京大学大学院工学系研究科修士課程久米均研究室への進学が決まった後でした。研究室には、飯塚悦功先生、中條武志先生、棟近雅彦先生が教師として在籍なさっていました。

  講義の中で強く記憶に残っているのは、事実にもとづいて行動をとることの重要性、後工程はお客様の概念、あわてものの誤りとぼんやりものの誤りの覚え方です。また、宿題の演習での講師間の議論はとても見応えがありました。特に誤差のプーリングについては、実践面での対応を理解できたと思います。QCゲームは、データから構造式を推定するのが、ゲーム感覚で面白く、試験計画と統計理論の勉強に役立ちました。

  大学とBCの双方で、総合的に学べ、とても勉強になりました。改めてご指導いただいた諸先生方に感謝申し上げます。

  講師としては、平成元年から参加させていただきました。ST分科会で問題を作成することで、曖昧だった統計の知識がより深くなりました。また、班別研究会では、様々な品質の問題の本質を深く知る機会と現場に合った適切な統計手法を選択する力が得られました。「教えることは学ぶこと」の言葉通りでした。

2.ベーシックコースを超えて
BCでは、統計解析のベーシックな手法を勉強したに過ぎません。現場には複雑で様々なデータが存在します。例えば、私の場合、大学院の修士課程で、チョコ停をテーマとしたので、統計手法としてはチェックリスト程度しか用いませんでした。会社生活と両立しながらの博士号の取得では、アンバランスな骨密度のデータに対して非線型混合効果モデルを用いて推定を行い、ベイズによる予測モデルを作成しました。この時、現場のテーマやデータにあわせて手法を選択する必要性を実感しました。

  医薬の分野では、ノンパラメトリックデータや生存時間のデータの解析がよく用いられます。また、非線型モデルへの拡張が必要な場合もあります。 そして、さまざまな多重性の調整(2回以上検定を行う際、試験全体での第1種の過誤をα以下にするために各検定のαを調整すること。BCでは2回抜取形式でその基本を学習。)を用いて試験デザインを計画することもあります。データの欠測もよく発生するので適切な統計処理が必要です。

  BCでは、1つの特性値に対して推定・予測を行うための手法を多く学習します。例えば、重回帰分析があります。しかしながら、特性値の判別や要因間の関係を調べることが目的の場合もあり、この場合、判別分析、主成分分析やクラスター分析を用いる必要があります。また、2つ以上の特性値への拡張が必要な場合もあるかもしれません。目的とデータの種類により、適切な解析手法が定まることを理解して、手法選択を行うことが大切です。

  最後に、受講生の皆さまが品質管理と統計解析の勉強を続けられていらっしゃることを嬉しく思っております。益々のご発展をお祈り申し上げます。

 
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