ビジネススキルBusiness Skills

ビジネス能力の向上、マネジメントの育成

ビジネス能力向上トレーニングとしての問題解決・課題達成

問題解決や課題達成の取り組みでは、物事に対してデータを集めたり、分析したりする能力、あるいは物事を論理的に筋道立てて考える能力が求められます。そのため、テーマの直接的な成果を求めるという実利的な側面とともに、その実践によってビジネスマンの論理的な思考力を訓練できる、という人材育成的な側面があります。これは問題解決・課題達成だけでなく、ビジネス全般で普遍的に活用できる能力の育成につながるものです。

問題解決 能力向上の効果 課題達成
1)テーマの選定
2)計画の立案
目的志向の考え方 1)テーマの選定/経営課題の確認
3)現状の把握 情報の分析、事実・データの把握  
  現状と目標の差異を認識し、適切な方向付けをする(課題の形成) 2)課題の明確化
/目標の設定 目標の具体化・数値化による管理 /目標の設定
4)要因の解析 情報の要素の把握/分解と再構成  
5)対策の立案・選定 状況を実現するために必要な要素の把握/発想力/目的に対する手段の最適化 3)方策の立案・選定
  状況から派生する可能性の列挙・想定 4)成功シナリオの追求
5)成功シナリオの実施
6)効果の確認 時系列的な状況の把握 6)効果の確認
7)歯止めと標準化 重要要素の抽出と表現 7)歯止めと標準化

マネジメント育成におけるカッツ・モデル

近年、再注目されているマネジメント育成に対する考え方に「カッツ・モデル」があります。これは米国の経営学者ロバート・L・カッツが提唱した考え方です。この考え方自体は1950年代に提唱されたものですが、現代でも十分に通用する考え方です。

カッツは、マネージャーに必要とされる能力を「テクニカル・スキル(業務遂行能力)」「ヒューマン・スキル(対人関係能力)」「コンセプチュアル・スキル」の3つに分類しました。前2つは比較的分かりやすいものですが、3つ目の「コンセプチュアル・スキル」は見慣れないものです。これをあえて日本語で表現するなら『複雑なものごとの状況や構造などを、俯瞰的・体系的に捉えて概念化することで、本質を見極めて対応する能力』とでも言い換えることができるでしょう。

マネージャー(あるいは経営者)にはさまざまな仕事があります。部門に関わる重要な問題に対処する。上位からの課題・タスクを達成する。限られた時間、あいまいな情報の中で適切な判断を下す。多様な関係者の間を取り持ち、調整する。新しい仕事をゼロから立ち上げる。部下の特性に応じて育成を進める。これらは、決して定型の公式に当てはめれば正解の出るものではなく、その対極ともいえる思考力(概念化能力)が求められます。

このスキルは他2つのスキルと比べ、職位が上がるほどその必要性・重要性が増し、しかもその特性から、単純で一律的な教育による習得が難しい、とされています。

コンセプチュアル・スキル育成と問題解決・課題達成

カッツ・モデルにおけるコンセプチュアル・スキルは、一律的な座学を聞いて習得できるようなものではありません。しかし、マネージャーが自然に育つのを、あるいは偶発的に能力が発現するのを待つわけにもいきません。そこでその良い訓練になるのが、問題解決・課題達成の取り組みです。

コンセプチュアル・スキルと問題解決・課題達成は、実は同じような背景・フレームワークを持っています。どちらも、多様であいまいな非定型の状況を対象にしており、また「状況の中から問題・課題を見出し、情報収集・分析を通してその本質を見極め、柔軟な発想で最適手を打ち出し、計画的に実行し、フィードバックによって軌道修正する」という共通したフレームワークを持っているためです。言い換えれば、問題解決・課題達成のアプローチ法や手法の活用は、さまざまな場面に応用可能であり、それがコンセプチュアル・スキルの発揮につながっていく、ということです。

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