派遣責任者、参加者インタビュー:旭化成ファーマ株式会社Interview
臨床試験セミナー 統計手法専門コース(BioS)
派遣責任者、参加者インタビュー 旭化成ファーマ株式会社様
「データをきちんと理解して、自ら考え、自ら議論を展開できる人材育成のため、今後もBioSセミナーを活用していきます」
旭化成ファーマ株式会社は、1992年1月に東洋醸造と旭化成工業が合併して誕生しました。
「医薬品を軸にした幅広いヘルスケアビジネスを展開し、時代のニーズに応える先進的な医薬品・医薬関係製品を提供するとともに、健康で豊かな生活の実現に貢献します」を理念に掲げ、患者さんや健康を願う人びとの視点にたって製品やサービスを提供し、成長を続けておられます。
また、同社は人材育成の一環として、日科技連の「臨床試験セミナー 統計手法専門コース」(以下、BioSと表記)に継続的な派遣をいただいています。
今般、薬事・信頼性保証センター市販後調査の部門長と実際にコースに参加された方に、そのねらいや感想等、様々なお話をお聞きしてきましたので、ご紹介します。
(聞き手:日本科学技術連盟 矢口 里美)
*インタビュー:2015年6月
派遣責任者:薬事・信頼性保証センター 市販後調査部長 鉾之原 忠実様
参加者:薬事・信頼性保証センター 市販後調査部 村瀬 瑛美子様
仕事を理解し、自身で考えることができる人材の育成に尽力しています!
聞き手:まずは、貴社の概要をお教えいただけますでしょうか?
鉾之原:当社は、1992年1月に東洋醸造と旭化成工業(当時)が合併して誕生し、その後2003年10月に分社・持ち株会社制への移行に伴い、現社名となりました。
「医薬品を軸にした幅広いヘルスケアビジネスを展開し、時代のニーズに応える先進的な医薬品・医薬関係製品を提供するとともに、健康で豊かな生活の実現に貢献します」という理念を掲げ、常に誠実に日々の仕事に従事して、患者さんや健康を願う人びとに対する思いやりを忘れない姿勢で、皆様が求めている製品やサービスを提供することに全力を尽くしています。
整形外科、泌尿器、中枢神経、免疫、血液・循環器などの領域で数々の新薬を開発しています。
聞き手:2015年度は、売上高1千億円を目指しているそうですが、短期~中期計画について、お聞かせください。
鉾之原:短期的には、整形外科領域で申請中の新薬があります。今後も申請を予定している品目があるので、それらの医薬品の寄与を期待しています。中期的には、弊社の売上の柱である「テリボン」や「リコモジュリン」の育薬による拡大が必要になると思います。
聞き手:継続的に成長をするにあたって、人材育成については、どのようにお考えでしょうか
鉾之原:近年、医薬品業界の変化(臨床研究の不正など)で、データサイエンスの重要性を再認識しています。製造販売後調査のデータは、以前はプロモーションの側面が大きかったですが、近年は薬の適正使用の情報を医療現場にどう提供していくかということを考える必要性が出てきたため、データをきちんと理解して適切なデータは何かということを踏まえたフィードバックができる人材の育成を目指しています。
聞き手:ここ数年、継続的にBioSにご派遣いただいておりますが、市販後調査部は、何名くらいいらっしゃるのでしょうか?
鉾之原:約20名くらいです。BioSには今年度の参加者を含めて部署から4名が参加しています。将来的には、部の半分くらいの人にはBioSを受講させたいと思っています。
聞き手:比較的若い方をご派遣いただいておりますが、何か派遣の基準はあるのでしょうか?
鉾之原:基本的には若い人で、データを取り扱う最前線の人を最優先に派遣しています。
聞き手:村瀬さんは、入社何年目でBioSに参加されたのですか?
村瀬:私は現在入社4年目で、入社当時からこの部署におります。市販後調査を担当して3年目にBioSを受講しました。
鉾之原:村瀬さんには、現在、当社のデータを収集して、CROと共にデータをまとめる業務をしてもらっています。
聞き手:村瀬さんは、BioSで学んだことを業務にフィードバックできていますか?
村瀬:業務では、CROに統計解析を委託することが多いの ですが、データが適切なものなのかどうか、また、そもそも使用している統計解析手法は適切であるのかなど、考えるようになりました。根本的な部分は、委託する側もきちんと理解する必要があると思います。BioSを修了して数か月しか経っていないので、今はまだあまりフィードバックができていると実感していませんが、今後は、自ら臨床試験の設計なども行えるように、BioSでの経験を活かしていきたいと思っています。
聞き手:なるほど。BioSで学習されたことを、大いに業務に活かしていただけたら、主催側としてもとても嬉しいです。
総合実習は実践さながら。結果の重要性を認識しました!
聞き手:ところで、BioSに参加してみて、実際の講義はいかがでしたか?
村瀬:参加当初は、難しい講義ばかりで、分からないことが多かったです。しかし、中間試験や卒業試験を実施して、要所要所で勉強をする機会を設けてくれているため、後になって最初の頃の資料を見返すと、自分が理解できるようになっ
ているのを実感することができました。
聞き手:定期的に実施する試験が勉強する良い機会になったのですね。とはいえ、1年間、会社の業務をされながらのご参加は、大変だったのではないでしょうか?
村瀬:はい、業務との両立は大変でした。総合実習では、講師が、「総括報告書が全てです」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。私のグループは途中まで実習が順調に進んでいたのですが、最後、時間がなくて不十分なまま総括報告書作成を提出したために、評価があまりよくなかったのです。途中まで順調だったのを見ていてくれていたから、大丈夫かなと思ったのですが、思うような結果にならず、あの時は、本当に総括報告書が全てなんだと実感しました。
聞き手:そうだったのですね。BioSの総合実習は、プロトコール作成から総括報告書の作成まで、臨床試験の一連の流れを体験できると共に、安全性モニタリング委員会や、倫理審査委員会などを設置して、本物の臨床試験に極限まで近づけて実施
しています。業務では結果が重要なので、同じく、総括報告書を重要視しています。
村瀬:はい、臨床試験を忠実に再現されていると身を持って感じた出来事でした。BioSは講義や実習など大変なことも多かったのですが、総合実習のグループのメンバーと助け合うことで、乗り越えることができました。メンバーとは、今でもたま
に会って、情報交換をしています。
聞き手:BioS修了後も、定期的に会っているグループはとても多いです。人脈は財産ですので、今後も交流を続けていってほしいと思います。
受講後の変化「仕事に向かう姿勢に自信が出てきたような気がします。自信があるから能動的に動けている感じがしています」
聞き手:上司の鉾之原さんから見て、村瀬さんがBioSに参加する前と参加した後で、変わった点はありますか?
鉾之原:仕事に向かう姿勢に自信が出てきたような気がしますね。自信があるから、能動的に動ける感じがしています。
聞き手:まさに、期待されていたことではないでしょうか。
鉾之原:はい。BioSでの経験を活かして、今後は、上司の意見に囚われず、どんどん自分の意見を発信していってほしいですね。会社が成長するためには、下からの突き上げが必要不可欠だと思っていますから。
聞き手:村瀬さんは具体的にどういったことが業務に役立っていると感じていらっしゃいますか?
村瀬:今まさにデータを集計する業務を行っていますので、どういったデータを出せるかなどを考える際に、BioSでの経験が役立っていると感じています。
鉾之原:どのようなデータをとったら良いのか、データ集計のデザインを考えているところだよね。世の中には、様々なデータ集計方法があるから、あらゆる方法を参考にして、自分が目指すものを定めていけたら良いのかなと思っています。
これからも継続的にBioSに派遣することで、自ら考え、自ら議論を展開できる人材を増やしていきたいですね。
聞き手:そういったお話をお聞きすると、BioSセミナーをますます充実していかなければならない、という強い気持ちになります。本日は、参考になるお話をありがとうございました。