派遣企業インタビュー 日本たばこ産業株式会社Interview
「BC卒業生は、各拠点の中核として活躍してくれています。今後も、BCへ技術者を派遣し続け、品質重視のDNAを強化していきます!」
日本たばこ産業は、ご存知の通り、たばこ事業法により、国産葉タバコの全量買取契約が義務づけられる一方、煙草製造の独占を認められていて、国内で唯一、本業としてたばこの製造を行っており、その国内販売シェアは約60%であると共に、海外でも高いシェアを誇っています。たばこの他にも、飲料や加工食品など様々な製品の製造を行い、数多くのヒット商品を産み出していることは、テレビコマーシャル等でもおなじみです。
同社の品質向上への取り組みは、自社で制定された行動指針「JTグループWAY」でもその重要性を強調されているほどです。社内では、品質重視の文化、風土が脈々と流れていますが、その根幹となる品質管理教育体制の充実度も特筆すべきものがあります。 その中でも、日科技連主催「品質管理セミナー・ベーシックコース(略称BC:Basic Course)※以下BCと記します」へは、1998年からの累計で120名を超える受講者を派遣され、その取り組みは今なお健在です。
今回は、同社を訪問し、同社の品質に対する考え方、品質教育とBCへの派遣についてお話を伺ってきました。 是非、多くの企業の方々にお読みいただき、参考にしていただければ有難く思います。
日本たばこ産業 株式会社 製造統括部 品質管理部
次長 狩野 孝史様 、課長代理 三村 正樹様、主任 長澤 俊輔様
狩野:“安心してたばこを吸っていただく”ために、品質にはこだわり続けています。これは長年JTの中に息づいていますね。そして、人材育成もJTのDNAになっています。人づくりは品質向上に直結しますので、品質の観点から見ても品質教育は不可欠であることは言うまでもありません。
聞き手:行動指針「JTグループWAY」があるそうですが、その中にも品質に関する事項が盛り込まれているそうですね。
狩野:はい。その通りです。自社で制定された行動指針「JTグループWAY」でもその重要性を強調しています。「あらゆる品質にこだわり、進化し続けます」と宣言しています。
聞き手:かなり以前から「JTグループWAY」は制定されていたのでしょうか?
狩野:はい。そうです。社内では、「JTグループWAY」にも明記されているように、品質重視の文化、風土が脈々と流れていると言ってよいと思います。その根幹となる品質管理教育も重視しています。
聞き手:そうですか。小松製作所の「コマツウェイ」や、トヨタ自動車の「トヨタウェイ」とグローバル化やダイバーシティが進む中で、経営理念、行動指針をグループ会社も含めた全社員で共有化しようという動きが広がっていますが、貴社でも同様の指針があるのですね。素晴らしいですね。
三村 正樹 様
長澤 俊輔 様
聞き手:先ほど、人材育成の重要性を話してくださいましたが、改善活動の取り組みはされているのでしょうか?
三村:当社では2つの活動を実施しています。「改善提案活動」と「現場主動活動」です。
聞き手:それぞれをどのようなものがご説明いただいてもよろしいでしょうか?
三村:改善提案活動は、エンジニア各個人による改善です。年1回、発表会を行い、今年で44回目となります。この改善提案活動の発表会は、私共の各拠点で発表者を選出しており、各部門長も参加しています。もう1つの取り組みは「現場主動活動」です。こちらは、現場レベルによる、業務プロセスや仕事の流れに対する改善活動です。
聞き手:ということは、発表会は44年間続いていることになりますね。44年もの間には企業を取り巻く環境が激変しているでしょうし、トップも何名も替わってと思います。“継続は力なり”ですね。本当にすごいと思います。
聞き手:現場主動活動はいかがでしょうか?
三村:現場主動活動は、現場レベルの業務プロセスや仕事の流れに対するグループ改善活動です。たとえ成果に結び付かなかったとしても、業務プロセスに対してPDCAサイクルを回していく活動を、これも各拠点での発表会で紹介しています。
狩野:私が入社した時から改善提案はありましたね。発表会などの表に出ない活動や、すぐに成果に結び付かなかったものものありました。ただ継続することによって、1ヶ月後、あるいは1年後に「以前と比べて変わっているよね」という実感が得られたものでした。
聞き手:各拠点で発表会を開催されているとの事ですが、拠点によって改善活動にばらつきが生じる様な事はありませんか。私共のお客様である各企業様とお話をすると、事業所のトップが交代することにより、これまでの取り組みが大幅に変わる会社もある様です。
狩野:各拠点でそれ程大きなばらつきはありませんね。各拠点とも、1年間の提案件数を目標に掲げて改善活動に取り組んでいます。
狩野:工場から候補者を選定してもらい、本社で審査をした上で参加者を決定しています。
聞き手:では、当コースへのご派遣のねらいを教えていただけますでしょうか。
三村:BCへの派遣の狙いは、品質管理のエキスパートを養成することです。エキスパートを養成するのに、OJTだけでは限界があります。その点BCでは、エキスパートに要求される統計の知識を、コンパクトに半年間で学ぶことができます。品質管理のエキスパートを目指す技術者にとって、BCは「登竜門」となっています。
聞き手:なるほど。それは大変有難いお話です。実務で統計の知識が必要との事ですが、具体的に、BCのご卒業生はどの様に統計の知識を活用されているのでしょうか。
三村:所属する部門によっても違いますが、専門的に統計的な品質管理を行う部門以外でも、例えば、業務でレポートを作成する時や、製品の試験を行う際、日常的なデータの見方、捉え方などにBCで学んだ知識が活かされています。実は私もBC卒業生でして、実務で困ったときにはBCのテキストを見返すときもありますよ。
聞き手:三村さんもご卒業生だったのですね!BCのテキストを振り返っていただいているというのは嬉しい限りです。BCのパンフレットにも、同様の記事が掲載されています。
長澤:BCの卒業生が社内でも研修の講師を行うこともあります。
狩野 孝史 様
聞き手:三村さんは、BCご卒業生だったことをお聞きしましたが、受講して最も良かった点を教えてください
三村:BC受講前はデータに翻弄されていましたので、データを見る力やデータの見せ方を学べた点が最も良かったです。
聞き手:狩野さんは、技術者をBCへ貴社の技術者をご派遣される立場として、受講生にはどの様なことを期待されていますか?
狩野:派遣する側としては、業務時間中に受講するからには、やはりきちんと勉強して、その学んだ内容を活かして実務で活躍して欲しいですね。先ほど、ここ数年のBC卒業生は、彼らは皆、各拠点の中核として活躍してくれています。BCへの派遣は、中核として活躍して欲しいメンバーへの投資と言うこともできます。
長澤:私は、BC卒業生が持ってくるデータに普段ふれる機会があり、「すごいな」と感じています。そのすごさを他の技術者にも伝播して欲しいですし、業務への動機づけになって欲しいと思っています。やはり、半年間研修でもまれてきたメンバーは違うな、と思います。
聞き手:それでは最後に、BCの今後に期待することがあればお聞かせください。
狩野:BCは完成された研修だと思っています。有識者の意見を取り入れて、BCを更に良いものにしていって欲しいです。弊社も、BCへ技術者を出し続けていく事に意義を感じています。
聞き手:分かりました。これからも、BCを更に良いものにしていく様に、改善を重ねていきたいと思います。本日は、貴重なお話を有難うございました。
日本たばこ産業は、ご存知の通り、たばこ事業法により、国産葉タバコの全量買取契約が義務づけられる一方、煙草製造の独占を認められていて、国内で唯一、本業としてたばこの製造を行っており、その国内販売シェアは約60%であると共に、海外でも高いシェアを誇っています。たばこの他にも、飲料や加工食品など様々な製品の製造を行い、数多くのヒット商品を産み出していることは、テレビコマーシャル等でもおなじみです。
同社の品質向上への取り組みは、自社で制定された行動指針「JTグループWAY」でもその重要性を強調されているほどです。社内では、品質重視の文化、風土が脈々と流れていますが、その根幹となる品質管理教育体制の充実度も特筆すべきものがあります。 その中でも、日科技連主催「品質管理セミナー・ベーシックコース(略称BC:Basic Course)※以下BCと記します」へは、1998年からの累計で120名を超える受講者を派遣され、その取り組みは今なお健在です。
今回は、同社を訪問し、同社の品質に対する考え方、品質教育とBCへの派遣についてお話を伺ってきました。 是非、多くの企業の方々にお読みいただき、参考にしていただければ有難く思います。
聞き手:日本科学技術連盟 安隨 正巳、鈴木 健二
インタビュー:2014年7月
日本たばこ産業 株式会社 製造統括部 品質管理部
次長 狩野 孝史様 、課長代理 三村 正樹様、主任 長澤 俊輔様
日本たばこ産業(JT)における品質への想い
聞き手:貴社の当財団への品質教育派遣実績やホームページを拝見いたしますと、“品質へのこだわり”というものを感じます。狩野:“安心してたばこを吸っていただく”ために、品質にはこだわり続けています。これは長年JTの中に息づいていますね。そして、人材育成もJTのDNAになっています。人づくりは品質向上に直結しますので、品質の観点から見ても品質教育は不可欠であることは言うまでもありません。
聞き手:行動指針「JTグループWAY」があるそうですが、その中にも品質に関する事項が盛り込まれているそうですね。
狩野:はい。その通りです。自社で制定された行動指針「JTグループWAY」でもその重要性を強調しています。「あらゆる品質にこだわり、進化し続けます」と宣言しています。
聞き手:かなり以前から「JTグループWAY」は制定されていたのでしょうか?
狩野:はい。そうです。社内では、「JTグループWAY」にも明記されているように、品質重視の文化、風土が脈々と流れていると言ってよいと思います。その根幹となる品質管理教育も重視しています。
聞き手:そうですか。小松製作所の「コマツウェイ」や、トヨタ自動車の「トヨタウェイ」とグローバル化やダイバーシティが進む中で、経営理念、行動指針をグループ会社も含めた全社員で共有化しようという動きが広がっていますが、貴社でも同様の指針があるのですね。素晴らしいですね。
日本たばこ産業(JT)における品質への想い
三村 正樹 様
長澤 俊輔 様
三村:当社では2つの活動を実施しています。「改善提案活動」と「現場主動活動」です。
聞き手:それぞれをどのようなものがご説明いただいてもよろしいでしょうか?
三村:改善提案活動は、エンジニア各個人による改善です。年1回、発表会を行い、今年で44回目となります。この改善提案活動の発表会は、私共の各拠点で発表者を選出しており、各部門長も参加しています。もう1つの取り組みは「現場主動活動」です。こちらは、現場レベルによる、業務プロセスや仕事の流れに対する改善活動です。
聞き手:ということは、発表会は44年間続いていることになりますね。44年もの間には企業を取り巻く環境が激変しているでしょうし、トップも何名も替わってと思います。“継続は力なり”ですね。本当にすごいと思います。
聞き手:現場主動活動はいかがでしょうか?
三村:現場主動活動は、現場レベルの業務プロセスや仕事の流れに対するグループ改善活動です。たとえ成果に結び付かなかったとしても、業務プロセスに対してPDCAサイクルを回していく活動を、これも各拠点での発表会で紹介しています。
狩野:私が入社した時から改善提案はありましたね。発表会などの表に出ない活動や、すぐに成果に結び付かなかったものものありました。ただ継続することによって、1ヶ月後、あるいは1年後に「以前と比べて変わっているよね」という実感が得られたものでした。
聞き手:各拠点で発表会を開催されているとの事ですが、拠点によって改善活動にばらつきが生じる様な事はありませんか。私共のお客様である各企業様とお話をすると、事業所のトップが交代することにより、これまでの取り組みが大幅に変わる会社もある様です。
狩野:各拠点でそれ程大きなばらつきはありませんね。各拠点とも、1年間の提案件数を目標に掲げて改善活動に取り組んでいます。
BCは技術者の「登竜門」
聞き手:貴社は、長年にわたりベーシックコース(BC)へ継続的に技術者を派遣していただいています。1998年からの累計で120名にのぼります。今回のBC(2014年度第1回)でも、4名の方にご参加いただいています。どのような方を派遣いただいているのでしょうか?狩野:工場から候補者を選定してもらい、本社で審査をした上で参加者を決定しています。
聞き手:では、当コースへのご派遣のねらいを教えていただけますでしょうか。
三村:BCへの派遣の狙いは、品質管理のエキスパートを養成することです。エキスパートを養成するのに、OJTだけでは限界があります。その点BCでは、エキスパートに要求される統計の知識を、コンパクトに半年間で学ぶことができます。品質管理のエキスパートを目指す技術者にとって、BCは「登竜門」となっています。
聞き手:なるほど。それは大変有難いお話です。実務で統計の知識が必要との事ですが、具体的に、BCのご卒業生はどの様に統計の知識を活用されているのでしょうか。
三村:所属する部門によっても違いますが、専門的に統計的な品質管理を行う部門以外でも、例えば、業務でレポートを作成する時や、製品の試験を行う際、日常的なデータの見方、捉え方などにBCで学んだ知識が活かされています。実は私もBC卒業生でして、実務で困ったときにはBCのテキストを見返すときもありますよ。
聞き手:三村さんもご卒業生だったのですね!BCのテキストを振り返っていただいているというのは嬉しい限りです。BCのパンフレットにも、同様の記事が掲載されています。
長澤:BCの卒業生が社内でも研修の講師を行うこともあります。
BCを評価している点と今後の期待
狩野 孝史 様
三村:BC受講前はデータに翻弄されていましたので、データを見る力やデータの見せ方を学べた点が最も良かったです。
聞き手:狩野さんは、技術者をBCへ貴社の技術者をご派遣される立場として、受講生にはどの様なことを期待されていますか?
狩野:派遣する側としては、業務時間中に受講するからには、やはりきちんと勉強して、その学んだ内容を活かして実務で活躍して欲しいですね。先ほど、ここ数年のBC卒業生は、彼らは皆、各拠点の中核として活躍してくれています。BCへの派遣は、中核として活躍して欲しいメンバーへの投資と言うこともできます。
長澤:私は、BC卒業生が持ってくるデータに普段ふれる機会があり、「すごいな」と感じています。そのすごさを他の技術者にも伝播して欲しいですし、業務への動機づけになって欲しいと思っています。やはり、半年間研修でもまれてきたメンバーは違うな、と思います。
聞き手:それでは最後に、BCの今後に期待することがあればお聞かせください。
狩野:BCは完成された研修だと思っています。有識者の意見を取り入れて、BCを更に良いものにしていって欲しいです。弊社も、BCへ技術者を出し続けていく事に意義を感じています。
聞き手:分かりました。これからも、BCを更に良いものにしていく様に、改善を重ねていきたいと思います。本日は、貴重なお話を有難うございました。